詩⑥
どうも初めまして 僕は、いや私は
どう見たって女です 女なんです
けれどあなたといると まるで後世に遺伝子を残そうとする獣みたい
そう この身体引き裂こうとする強い熱が 一晩限り雄にしてしまう
世界にそれしかないみたいに あなたを強く愛したくなる
キスしてもいい? あなたは照れ笑って見せた
誘ってんの? 押し倒していいの? めちゃくちゃに愛させてよ
今夜ばかりはあなたを家に帰せない 腕を引いて攫ってみせる
通り道を阻むビルの群衆さえ鬱陶しい
クラクション鳴らす車だって恐くない
滲む月光浴びるあなたは 僕を、いや私を 虜にしてやまない
ほらおいでよ 下品?痴女? なんでもいい
だって今この時 僕は確実に 狩りする獣だ
目の前のドアが開いたら 真っ先にその首筋に喰らい付いてやる
気付けば午前5時 隣には無防備なあなたがいた
繋いだままだった手に ふと我に返る
じんわりと胸に体温が浸透する
きっとそれは幸福だ
とても大切な 姿かたち そのすべて
寝惚け眼で綴る 例えこれから先ありふれた一日になろうと
今この一瞬を あの一夜を あの強い熱情を
僕は、いや私は 忘れたくなかった
脳の奥の引き出しに 鍵は掛けずに しまっておくんだ
「おはよう」 可愛くて器の広い 愛しい人