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松橋オリザ
松橋オリザ
novelistID. 31570
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立ち読み版 二人のラブミルク

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「うーん。それはどうでしょうか……」
 そのへんのことは、豊田も鳥居もよくわからないようで、日乃本の存在を気にしながら煙に巻く。
 やや、内輪の話になってしまった。もしかすると、自分のような第三者と人事問題を話題にするのは適当でない……なんて、思ったのかもしれない。
 鳥居は話題を変えるように、コーヒーに手を伸ばす。足を組み直し、ちょっと堅い仕草でコーヒーをすすった彼は、目を輝かせた。
「ほんとだ。美味しい……」
「でしょう?」
 そんな鳥居に、日乃本と豊田は顔を見合わせて目を細めた。
 これまで他人と時間を共有するのは、あんまり得意じゃなかった日乃本だが、楽しいし、ほっこりする。何か、重大なことが起きているわけでもないのに。自分にとって、これは事件といっていい。
「幸せな気持になれますよね……」
 のどの奥まで潤すと、会話で暖まりだした日乃本の身体に、いっそうの熱さと甘さがしみ込んできた。
 こんな和気藹々とした雰囲気は、三人が腰を上げるまで続いた。