「歴女先生教えて~パート2」 第二十六話
「お天気もいいし、水遊びでもしようか?日焼けが気になるかな?」
「なんか先生と一緒に水着になるのが恥ずかしいです」
未海は体型を気にしてかそう言った。
「私の方があなたたちのように若い人と一緒に水着になることが恥ずかしいわよ。ここまで来たのだから、そういう事は気にしないで楽しみましょう。そうですよね、颯真さん、佑太さん?」
名前をふられてちょっと驚いた二人だったが笑顔でそうです、と返事をした。
颯真も佑太も美穂の水着姿に大人の女を強く感じていた。それは若い自分の彼女より格段に色気が感じられたからだ。
逆に拓真には未海や朋美の水着姿に若さこそ感じられたが、それ以上の思いは抱くことは無かった。
川から戻ってきて、シャワーを浴びて夕食のバーベキューの支度にみんなはとりかかっていた。慣れないことだったので、火がなかなかうまく炭に着かず、苦労していた。
やっとのことで煙ばかりではなく炎が上がり始めて、鉄板と網を置いて、焼き始めた。
拓真と美穂は若い四人に遠慮してビールは買わなかった。焼き上がった肉や野菜、それに養殖のマスを食べながら会話が弾む。
「先生は教師になりたいと初めから思っていたんですか?」
「ええ、そうよ。本当は小学校に行きたかったんだけど、難しいって言うから、高校に変えたの。それにね、在学中に自分が歴史に強い関心を示したことから、その思いが伝えられる受験校じゃない工業高校へまずは赴任した。夫とはそこで知り合ったの」
「へえ~、先生と生徒って恋愛するんですね」
佑太は自分には考えられないというような眼をしてそう聞いた。
「佑太さん、私もまさかって思ったわ。14歳も年下の男子に恋愛を感じるだなんて、普通は及ばないことよね。今も何故好きになってしまったんだろうって思うことがあるわ」
笑ながら拓真が答える。
「実はね、クラスメートの高木って言うやつと賭けをしたんだよ。おれが美穂先生を誘えたら100円貰うって。今考えたら出来そうにもないことをよく賭けたもんだよ。その高木はなんと結婚していた20歳年上の保健室の養護教諭と仲良くなっていたんだよ。最初は単にサボり癖で保健室に行くんだと思っていたけど、実はそこで危ないことをしていたんだよ」
「本当ですか?その話は」
「ああ、本当なんだよ。奴は本気だったんだけど、保健室の教諭は家庭の事情からくるストレス発散だったと後から聞かされた」
未海も朋美もこの話は聞かされていたが、詳しいことは知らなかった。
作品名:「歴女先生教えて~パート2」 第二十六話 作家名:てっしゅう