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股野 特大
股野 特大
novelistID. 38476
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私は夢見る夢子 エッチな夢を見る

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THE シュール




私は夢見る夢子。エッチな夢を見る。

午後の喫茶店。陽だまりの中での女友達との長話がひとときの幸せだ。
彼女は大学時代からのお友達。2ヶ月に1回のランチタイムが楽しい。
その彼女が帰る間際、こう言った。
「そういや、夢子が付き合ってた海野くん、先月死んじゃったんだって」
「えっ!」
「前立腺がんだったそうよ」
私はそうなんだ・・と少し気落ちして彼女と別れた。

随分前の彼氏、結婚する前つきあってた男だ。海野ってやつは。
いつも自分のことばかりで「俺様海ちゃん」と呼んでいた。

今となっては男はみんな「俺様」を威張りたがる動物だと知ってるが、あの頃社会人になりたての頃は私は「こんなワガママ男捨ててやるぅ!」と何にそんなに腹を立ててたのか、同棲していた彼の荷物を全部、玄関に放り出して彼と共に捨てた。

それっきりあいつとは復縁とならず、過去の男になっていた。
捨てたくせに私は泣きっぱなしで、また帰ってくるかも・・と心のどこかで期待していた。
でも、さすが俺様海ちゃん、弱い心も見せずに綺麗に去って行った。
風のような男だった。

その夜、彼のことを思い出した。



同棲を始めたあの頃の記憶が甦る。

車で15分の所にある海からのお帰りだ。足はまだ砂がついている。
「腹減ったよ~。ごはん食べたい~」
いつものセリフだ。
そのまま、部屋に上がろうとするのを私は慌てて止める。そして玄関で待つ彼に濡れた雑巾を持って行き彼の足を拭いてあげる。まるで母親が子供を迎えるようだ。

「どうだった仕事?」
「いつもとおんなじ。退屈よ」
「会社勤めは大変だな。俺、まじ尊敬するよ」
「海ちゃんもどっか働いたら?」
「う~ん、じゃ秋が終わってから」
「なんで?」
「今の時期、一番あそこらへん波が高いし・・・」
サーフィンになると彼はくったくない笑顔になり、上機嫌になる。
「でも、働かないとお金ないでしょ」

私はその頃、彼のために毎日500円をお小遣いとして、会社に行く前ベッドのヘッドボードに置いて行っていた。
彼はその500円で車のガソリンを入れたり、お昼を食べなかったり、まったくお金とは無頓着に生活して「もっと」とかは絶対言わなかった。
しかし、まわりの男達は上司に怒られ耐えながらでも働いていた。

「そんなんじゃいけないと思わないの?」
「思わない」
「みんな、働いてんだよ」
「みんなはみんな、俺は俺。カンケーない」
「私はヤダ」
「なんで?」
「ヒモみたいじゃん」

「・・・・ヒモなら、ヒモらしくしないとなっ!」そう言うと、彼は私の上に覆いかぶさってきて私の大きな胸を揉むのだった。
私の胸はDカップはゆうにある。
くすぐったいから、いつのまにか彼を許し、笑いあい、そのうちモツレテ絡みあいベッドで裸になるのだった。
甘い生活とどこか寂しい生活。私の理想の同棲生活とは程遠かった。

そして、やっぱり彼にしっかりして欲しいと小言を言うと
「俺様は俺様なんだ!」と口を尖らせ不機嫌になり、1DKの小さい部屋がさらに狭苦しくなった。