詩
意識が波に呑まれていく 響く警笛 赤いランプ
熱に魘され 体が刻まれる
切り替わる場面 彷徨う僕と 惨(むご)い景色
刺すような痛みに 縛り付けられた腕
霞む視界が 白を捉え 混濁する
泣く母に兄弟たち 笑っちまうほど凄惨だ
空気の漏れる喉に 伸びるチューブ
胎児の様な脳味噌に 皆安堵する
それだけでいいと 言わんばかりに
苦しみってのは 案外直ぐに去っていく
振った手がぶら下がる 空(から)の身体
さよならを告げたのは 病気か 死んだ自分か
どっちにしたって何かを失った
時間に取り残されて 蹲る身体
やがて去ったはずの苦しみと再開を告げて 今日もまた死んでいく