聞く子の(むかしの)約束
プロローグ
今は部長になって、世界中を飛び回る仕事から解放されて久しい。おとなしい生活が板についている。
女性社員からも相手にされなくなって久しい。それはとても寂しいことだ。
大学時代は派手に遊んだけど、あまり女子に不自由はなかった。そんな私にはその頃、特別な女性がいた。交際相手のことではない。それは6歳年上で、学生課職員の貴久子さんのことだ。
彼女とは、お互い惹かれ合っていたのかもしれないが、数々の思い出があるものの深入りしない間柄で、遠慮の結果、卒業と同時に連絡を取り合わなくなってしまっていた。25年も前のことだ。
昨年からちょっとしたきっかけで、急に彼女のことを思い出して、なんとなく後悔の日々を送っている。
今更ながら、何とか連絡できないかと思い、いろいろと手を打ってみた。
そんな折、半年以上経って、ようやく彼女から連絡があったのだ。
作品名:聞く子の(むかしの)約束 作家名:亨利(ヘンリー)