私鉄沿線物語
それを合図に中谷は熱いものを遠慮なく,ぶち込んできた。
奥深くまで肉穴をかき分けるようにズブズブと入り込んできた。
そして、容赦ないピストン。
壊れるかのくらい、中谷は突き刺してきた。
パンパンッ!
パンパンッ!
腰と腰がぶつかりあう音
クチュっ
クチュっ!
性器が擦れ合う音
はぁはぁ・・・
お互いの吐息
いろんな淫靡な音が由美の部屋に充満した。
由美はそして夢中になってる中谷とは別に電車の音を拾っていた。
ガァーーーッ・・・ほら、また来た・・・。
通過する音が由美の子宮をくすぐる。
「ねえ、中谷さん・・・窓を開けてもいい?」
「えっ?」
腰を振っていた中谷は最初、由美が何を言ったのかわからなかった。
「だから・・・ねえ、窓を開けたいんだけど・・・」
「・・・?」
「誰にも見えないから・・・」
「電車が通るだろここは?」
「いいの・・・だから、いいの」
「見えるよ」
「見えないってば・・・一瞬横切るだけだから・・」
「・・・・変なやつだな・・・開けたいのか窓を?」
「うん!」
由美は中谷の身体の下で言った。
中谷は由美の身体から離れると、窓に近寄り少しだけサッシのドアを開いた。
夜空と高架線の線路が見える。
他のマンションは見えない。
「全部開けてっ!」
「いいのか?」中谷は不安そうに聞いた。
「大丈夫っ!」
中谷はガラリと大胆に全部開けた。
そして裸の由美のそばに急いで帰ってきて横になった。
窓からは空と私鉄の高架線だけ見えた。
電車が近づいてくる音が聞こえた。
中谷にもそれが、毎日自分が通勤している電車の音だとわかった。
心臓の音のようにその電車の轟音は近づいてくる。
ガァーーーッ!!!!
静かな部屋だったところに突然、騒音の竜巻が走る。
電車の明かりで一瞬だけ部屋が明るくなる。
中谷は由美の顔を見て「ホント一瞬だね・・・凄いね」と言った。
「・・・でしょ?私これが好きなの」
「見えたかな?」そう言いながら、中谷は由美の部屋を毎日覗いていた時を思い出した。
見えたようで見えないようで・・が正直な感想だった。
「私、ここを開け放してオナニーするのが好きなんだ・・」
なんのためらいもなく由美は中谷にカミングアウトすることが出来た。
「おかしい?」由美は聞いた。
中谷は
「いや、おかしくない。今のは僕にとっても快感だった。変やな・・」
それを聞いて由美も笑った。
「ねえ、今度は窓を開けてしようよ」由美が言った。
「いいね・・・なんだかドキドキするね。明日からここを通る時、忘れられんわ」
「何を?」
「由美とこうやってること」
「セックス?」
「いや、全部!」
「私の事、忘れんとってぇ~、堪忍やでぇ」
「なんや、へんな関西弁やな~」
二人は月明かりの下、裸のまま笑いあった・・・・。
(完)