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てっしゅう
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「歴女先生教えて~パート2」 第二十一話

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美穂の歴史の授業は中国が初めて統一国家として姿をなした秦の始皇帝の偉業を語っていた。

「始皇帝はまず皇帝という称号を作ったの。中国の太古の時代に三皇五帝と呼ばれた帝王が居たという伝説から採ったのね。また、文書行政を基軸として全国に郡県制を敷いた。全国を郡と県に分割し、中央から優秀な官僚を派遣して統治する仕組みよ。世界で初めて中央集権国家が誕生したという事。

さらに、度量衡を統一し、全国で計量する長さや重さの基準を同じにした。車軌(しゃき)の統一も実施するの。車軌とはわだちのことで、馬車の車輪が残す跡の事よ。中国は広いから全国の道路を舗装するという事は不可能だったので、車輪の幅を統一すれば、泥道でもわだちのへこみが均一になるから、押し固められた道筋が出来て悪天候でも走れるという訳。
道路が機能しなければ郡県制は成立しないという事を始皇帝は理解していたと思われるわ」

「先生、そんな立派な始皇帝が建国した秦も滅ぼされますよね?」

「そうね、始皇帝は一代でヨーロッパよりも広い中国を統一したんだけど、言ってみればグランドデザインは作ったけれど、まだ仏作って魂入れずという状況だったのね。彼が生きていた時は睨みもきいたけど、死去すると、あっという間に反乱が起こったの。
反乱は辺境防備に狩り出されていた貧農の間から起こった。急速な国家づくりで土木工事や戦争に民衆は徴用されて疲弊しきっていたのよね。
農民の反乱で国力が落ちた秦は、楚(そ)の項羽(こうう)と劉邦(りゅうほう)の連合軍によって滅ばされるの。時にBC206年、建国から十五年の命運だった」

「項羽と劉邦の名前は聞いたことがあります。有名な人ですよね?」

「そうね、司馬遼太郎さんの小説で有名になったわね。項羽と劉邦は協力して秦を倒したんだけど、その後に二人は対立するの。最終的には劉邦が勝利をおさめ、漢(かん)が誕生する。漢はその後に一度、新(しん)という国に倒されるのだけど、また復活するのね。最近では秦と漢を併せて秦漢帝国と呼ぶ学者もいるの。なぜそう呼ぶのかと言えば、劉邦は何もしていないからかしら。始皇帝の作った枠組みをそのまま継続して、厳しかったところを少し緩くして建国した。それがかえって良かったのかも知れないわね、漢は400年あまり長く続いたからね」

「先生やはり人は厳しくされると恨みを持つという事ですね?」