僕らの再出発
Phil Side
昨年の12月某日、僕は親友の死のショックから、高熱を出して3日間寝込んでいました。同居していたパートナーのルシンダによると、僕は一時的に意識を失っていて、彼女は本当に救急車を呼ぼうとしたそうです。
体調は回復しても、日を経るにつれ、悲しみと苦しみはクレシェンドしてきました。リーダーの居ない「LOVE BRAVE」は成り立たず、僕自身が音楽をやる理由が分からなくなってしまいました。さらに悪いことには、3月のある日、ルシンダが変な男から薬物を受け取っているところを現行犯逮捕されるという事件も起こりました。ヒューゴやジミーとの連絡も途絶え、僕は完全に孤独になり、音楽をやる気力をすっかりなくしました。
そんなある日、伝説級のロックバンド「Φ」(ファイ)のリーダー、ジョアキム・ウッド氏が僕をカフェに呼んで話をしてくれたことがありました。彼は、僕たちを見込んで、メジャーデビューするときはプロデューサーになるとまで言ってくれた方です。彼も、所属するバンドのメンバーと(元メンバーも含め)2人も死別しているのです。だから、僕のことをすごく理解し、一緒に悲しんでくれました。一番うれしかった彼の言葉は、
「君らが戻ってくるのを、僕はいつまでも待ってる」
です。彼の一言で、僕は音楽を捨てるのを思いとどまりました。