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ノベリストのアクセス事情に宣戦布告

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 もう大阪の街も当てにならなくてね。その晩大阪の公園で寝袋で寝たんだ。
 僕は高校のときのことを思い出してね。クラスの不良のやつがカンニングペーパーを使って、落第しないようにして、僕は赤点は取ってないけど、本当はあいつらより点数は上だって先生にチクルんだ。僕はいつも不良をチクル役をしてたんだ。でもね。その先生ったらね。最後の卒業式でだよ。僕に、
「君は不良にすらなれてない」そう言うんだ。卒業式に一番残酷な言葉だよ。
 そんなことを思い出しながら、僕は一晩過ごしたんだ。どいつもこいつも話が分からないやつらばかりだから、僕はあることを思いついたんだ。
 このまま自転車をほっぽり出して沖縄に行ってやろう。そして沖縄の石垣島に行ってやろう。そう思いついて決めたんだ。沖縄の那覇に行くのに一日。二日目にやっと石垣島に着いたよ。そのときは夕暮れだったけど星が綺麗でね。
 本当石垣島は星が綺麗なところだよ。僕は芸能人のTも最後に握手会以来連絡が取れないこととか思い出してね。沖縄の石垣島の人にもノベリストのアクセス事情を分かってもらうため、今度こそ失敗しないように話をまとめて、頭を使っていたらね。たまらなくバカらしくなってきたんだ。
 
僕は一週間くらい何もしないでただ石垣島で海の波の音を聴いて過ごしたんだ。

ある日の夕方、その日も星が綺麗でさ。僕はえんじ色のキャンピングカーでバーベキューをやってる車のわきを通って、しばらく歩いてると五歳くらいの女の子がとぼとぼ歩いてきてね。「どうしたの?」って女の子に話しかけたら、女の子は僕に「おじちゃん、お母さんとはぐれちゃった」ってね。どうやら迷子のようだった。この子くらいの歳の子から見ると僕もお兄ちゃんじゃなくて、おじちゃんなんだね。
女の子はえんじ色のキャンピングカーで来たって言うから、
「知ってるよ。おじちゃんについてきな」って言って僕はほんの少し遠回りして、女の子と手をつないで、石垣島の海岸の辺りを歩いたんだ。その石垣島の女の子に歳を訊いたら、やっぱり五歳だった。
 夕方だけど星ははっきり見えてね。
「あれ、ケンタウルスでしょう?」
 女の子がそんなこと言うから、僕はびっくりしたね。
「よく星座なんて知ってるね」
「宇宙のふしぎって、図鑑もってるの」
「カタカナが読めるの?」
「うん」
 僕は理科は苦手だったけど、星座だけは詳しくてね。石垣島の女の子と一緒に星座を探したんだ。
 
 あれは白鳥……
 あれはさそり座……
 あれはへびつかい……

 ってね。
 しばらく石垣島の女の子と波の音を聴きながら、海岸のわきを歩いてたんだ。夕暮れが綺麗で、そのときはもう、星がはっきり見えてね。本当綺麗な星空だった。
 そうしたら石垣島の女の子は、
「おじちゃん結婚してないの?」って訊くから、
「してない」って言ってね。
「結婚しないの?」って訊くから、僕は思わず、
「おじちゃんと結婚してくれる?」
 そう訊いたんだ。そうしたら女の子って言ったら、
「いいよ」なんて言うんだ。
 僕はその瞬間やりきれなくてね。たまらなくやりきれない思いになってね。
「そんなことを言うもんじゃないよ。そんなことを言うもんじゃないよ」ってなんか涙が出てきてね。
 僕はたまらなくやりきれなくて、涙が止まらないんだ。同時にスーパーのバイトの前のバイトをいくつか首になったこと、この間の発注ミス、最近ソープランドのオーナーと喧嘩したこと、卒業式で、君は不良にすらなれてないって言われたこと。
 そんなことが次々思い出してきて、どういうわけかたまらなくやりきれない気持ちになってね。
「そんなことを言うもんじゃない。そんなことを言うもんじゃない」って、僕は半ば泣きじゃくりながら言ったんだ。
 女の子は「おじちゃん泣かないで」って言って。

 僕は最後に女の子をえんじ色のキャンピングカーに連れて行って、僕の住所とノべリストのアドレスが載ってる名刺を渡して、別れたよ。
 そして大阪まで自転車を取りに行かず、そのまま東京に帰った。
 東京を出て、一ヶ月ちょっとしか経ってなかったからね。まだスーパーのバイト、今からなら戻れるかもって電話してね。
 店長とチーフと僕の三人で面談をしたんだ。
店長は、
「君には毎週、週三で休みを十分与えてるじゃないか。それでもストレスがたまるのか?」って言ってきた。僕は、
「ノベリストっていうサイトのことで話すと長くなるけどいろいろあるのです」
「それは仕事には関係ないだろ」
「いや、いろいろ不正アクセスとかひどいんです」
「まあ、そういうのはあるだろう。どこでも」
「でも僕はくやしいんです。一週間に二百アクセス稼いだときも毎晩必死で」
 店長とチーフはしばらく黙って、店長が、
「そのノベルサイトだっけ?」
「ノベリストです」