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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「歴女先生教えて~パート2」 第十四話

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「ええ、そうよ望月さん。イラン帝国とも称されるけど、一般的にはペルシャ帝国が普及している。ダレイオスは王の道と呼ばれる道路網を国全体に張り巡らせたの。これに倣ったのが後の秦(しん)の始皇帝であり、ローマ帝国だった。そして共通語の普及を考えたの。国王自身はペルシャ語を使っていたんだけど、圧倒的多数の人たちがアラム語を使っていたので、アラム語が第二公用語になったの。これは素晴らしく開明的なことだと思えるわ。後は、地方行政の整備、行政査察官制度の設立、通貨の流通を円滑にしたし、農業の生産力を増大させた。後にヘレニズムと言われる、ギリシャ文化とペルシャ文化の交流・融合はこの時から始まってゆくの」

「ペルシャ帝国はアレクサンドロス大王によって滅ぼされますよね?」

「有名な歴史よね。その前に言っておきたいことがあるの。それはね、アカイメネス朝の北方、中央ユーラシアの草原地帯にスキタイという遊牧民族が居て南下する機会を伺っていたのね。
ダレイオスにとっては最大のライバルだったのがこのスキタイだったの。ダレイオスは現トルコのアナトリア半島北にあるダーダネルス海峡(東に黒海、ボスポラス海峡イスタンブールを経てマルマラ海からエーゲ海へ抜ける細長い海峡)に橋を架け、大規模な軍団を中央アジアに送って、スキタイ人に攻め込んだ。スキタイは作戦として逃げて逃げて敵を草原の奥地まで誘い込もうとしたんだけど、ダレイオスはその作戦を見破り、兵を引き上げた。これによりペルシャとスキタイとは大きな衝突は起こらなくなったの。後のロシアがナポレオンを敗北させたようには行かなかったのよね」

「先生!ペルシャ戦争でギリシャに負けたと記憶していますが、どうなんでしょう?」

「そうね、先生は少し見方が違うの」

*ペルシャ戦争の発端はアナトリア半島南西部にあった小国が反乱を起こし、これをエーゲ海を挟んだアカッティ地方の都市国家が支援したことにあります。世界帝国のアカイメネス朝と都市国家ではまともな戦闘とはなりません。ダレイオスが攻めてくると降参したのです。しかし、しばらくすると海を隔てたアカッティの人々にはペルシャ帝国の大きさが解らないので、プライドも手伝ってまた必死に戦いを挑みます。ダレイオスにしてみれば大帝国の西の隅で、血気盛んな若者が騒いでいる程度のものだったという事です(出口治明著:全世界史講義から)