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漢江を恋えて

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 その後は言葉にならなかった。凛の部屋で二人は何時までも抱き合っていた。
 その後、ホワイトデーを待たずにエリは機上の人となった。凛が空港まで送って行ったのは言う間でもない。

 二年後のホワイトデーの日、凛は漢江を見下ろす丘の上に立っていた。エリに結婚の申し込みをする為だった。旧正月の休みにエリが東京に来た時にプロポーズは済ませていた。エリは快諾してくれた。ただ問題はエリの父親だった。彼女が言うには、それはそれは怒り心頭だったそうだ。
『日本人なんかには娘はやれない』と言って怒り狂っていたそうだ。凛はそれでも正々堂々と結婚の申し込みをするつもりだった。どうしても駄目な時は二人で駆け落ちも考えていた。
「大丈夫かな?」
「大丈夫さ。僕は何も怖くないよ。エリが傍に居てくれるなら」
 
 その後、二人は結婚して東京の郊外に住まいを持っている。
 あの時、エリの家に行って、結婚の申し込みをした時。予想通りにエリの父親は反対して怒り狂ったが、凛は表情一つ変えなかった。その態度に感心した父親が最後は折れたのだった。
「君は日本人とは思えなほど根性が座っている」
 これがエリの父親の凛の人物評だった。今度、生まれて来る孫を見に来ると言う。それを聞いてエリは幸せを感じ、凛は自分の行動が間違っていなかったと思うのだった。


                 了
作品名:漢江を恋えて 作家名:まんぼう