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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「歴女先生教えて~パート2」 第十二話

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「望月さん、そうよ。日本の明治維新の時を思い出してみると解るわ。徳川幕府を破るために必要だった軍事力と天皇のカリスマ性は、薩長土の原動力になったけど、平和を維持するための明治政府としては、新政府を守るために諸外国との通商、国防協定が最優先となり、力任せの侍の生き残りと政治に口を挟む天皇は邪魔になったのよね」

「国家の繁栄には並々ならぬ知恵と思い切った決断が必要だと考えます」

「素晴らしい考え方だわ。アッシリアを打ち破ったのは、カルデアとメディアの連合軍だった。BC612年のことで、連合軍はニネヴェ(Nineveh)を陥落させた。カルデア人はバビロニアの地に新バビロニア王国を建て、メディアはイラン高原に根拠を置く、アーリア人の国家だった。
アッシリアの首都ニネヴェには大図書館があって、帝国全土にあったたくさんの文献を納めていたの。楔形文字を刻み込んだ粘土板ね。残されていたシュメール文明以来の歴史が記された貴重なものだった。その中には世界最古の文学と言われる、ギルガメッシュ叙事詩が発見され、ノアの箱舟の原型となった洪水物語もあったのよ」

「聞いたことがある名前です!」

「うん、有名よね。次は新バビロニアについて話すわ。BC605年に有能な王、ネブカドネツアル二世(ネブカドネザルとも書かれる)が登場する。彼はメソポタミアから、シリア、パレスチナまでの支配権を確立して、新バビロニアの極盛期を築く(空中庭園やバベルの塔に代表される栄華があった)んだけど、その過程でユダヤ人の国、イスラエルの南王国を滅ぼしたの。
この時にネブカドネツアルは抵抗した住民の大部分を、新バビロニアの首都バビロンに強制移動させるの。これが有名な、バビロン捕囚(ほしゅう)の始まりとなった」

*反抗する住民の強制移住は、古代から現代のスターリンまで良く行われてきた政策の一つです。軍隊を駐屯させるよりコストが安いと考えられるからです。広い意味では江戸時代の参勤交代もそうだと言えます。
ネブカドネツアルをイタリア語に直すとナブッコとなりますが、19世紀にイタリアの作曲家ヴェルディが「ナブッコ」という歌劇を作曲しています。これは「バビロン捕囚」を描いたオペラです。

「ナブッコ」は1842年三月にミラノ・スカラ座で上演されて大きな反響を呼びました。特にバビロンに拉致されたユダヤ人たちが、ユーフラテス川の畔に立って祖国への想いを歌う、「行け、我が想いよ、金色の翼に乗って」は、イタリアの第二の国家と呼ばれるほどに人気のある歌になりました。
当時のイタリアは、オーストリアの支配から脱して独立しようとする気運が盛り上がっている最中でしたから、祖国に寄せる想いを歌った「行け、我が想いよ」が、熱い感情をイタリア人に呼び起こしたのでしょう・・・「全世界史」講義より。