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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「歴女先生教えて~パート2」 第八話

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美穂の授業が始まった。

「前回、なぜメソポタミアより後から発達したエジプト文明の方が大都市を構築することが出来のか?という問いだったわよね。それにはメソポタミアに大都市が生まれなかった理由を話さないといけないわね。
大国が成立するためには、大量の余剰生産物を集めなくてはいけなかったのね。そのためには道が必要です。エジプトにはナイル川がまっすぐに走っていて、高低差も少なく、流れも穏やかなので大量の物資を運べたのよね。さらに、川岸には山や丘陵地帯も無かったから、要所要所に警備兵を配置しておけば守りやすかった。こうして点の都市国家が、水路、陸路という線によって結ばれることで、面という大国を支配できるようになるの。
さらにね、毎年の洪水が、上流から肥沃な土壌を運んできた。ヘロドトスの言葉にあるように、エジプトはまさにナイルの賜物だったの」

「メソポタミアにも大きな川が流れていましたよね?それは水路として役割を果たさなかったのでしょうか?」

「ティグリス川とユーフラテス川は緑地帯を走り、流れも速く、周囲には丘や森があったの。なので、盗賊の隠れる場所となっていたし、さらに上流にある山地に住む住民が豊かな川沿いの土地を襲うこともしばしばあったの。加えてシュメールの都市国家は、ジグラット(塔)に独自の守護神を祀り、互いに覇権争いをしていた。こうした条件が重なって、誰も大量の余剰生産物を集めることが出来ずに、メソポタミアには統一国家がなかなか現れなかったの」

「都市が発展するためにはいろんな条件が必要なのですね」

「そうよ。家康が開拓した江戸も広大な湿地帯の関東平野だったけど、利根川や隅田川などの水路と、江戸湾の豊かな恵みが功を奏した。埋め立てをして、運河を作って家康は街づくりを進めた。皮肉にもそれには大阪からの職人たちが貢献したの。それに北からの進入路と西からの進入路には峻険な山に囲まれていたから、安全面でも優位だったことは見逃せないわ」

「先生、このころには他にもインダスとか黄河とか興りましたよね?」

「そうね、これから話そうと思っていたわ。メソポタミアとエジプトから500年ほど遅れて、インダス文明が興ったの。エジプトで大ピラミッドが作られていた頃ね。このことは、メソポタミアから出発してエジプト、そしてペルシャ湾から海沿いにインドまで行き、インダス川を遡って伝わったという流れね。インダス文明は文字が解明されていないので、詳しくは解らないけど、大規模で衛生的で整然とした都市国家を残していたことは遺跡などで解っているの」

「黄河文明もメソポタミアから来たのですか?」