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ナイルだ! ライダー!

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【此の度のご栄転、御慶び申し上げます。 新天地での益々のご活躍とご健勝を祈念いたします。 地獄大使 ( ̄ー ̄)ニヤリ】

 死神博士はその手紙を読み終えるなりくしゃくしゃに丸めて床に叩き付けた。

「きやつ! このワシをコケにしおって! 首領様も首領様だ、どこの馬の骨ともわからぬ怪しげな中国人なぞ重用してこのワシをこんな所まで飛ばすとは!」

 ショッカーで人事異動があり、日本本部の大幹部にフー・マンジューが登用されて、そのあおりを食う形で死神博士はエジプトに飛ばされたのだ。
 表向きはショッカー・エジプト支社の立ち上げを任せる、と言うことだが、博士直属の怪人の同行も認められず、付けられた部下もノーマル戦闘員5名だけ、それも落ちこぼればかりだ。
 どう考えても左遷されたとしか思えない。
 『新天地でのご活躍云々』は栄転の際に使われるのが正しい、しかし文末の( ̄ー ̄)ニヤリを見ればわかる、地獄大使はわざと使っているのだ。

「今に見ていろ……このワシの天才的頭脳を見せ付けて見事帰り咲いてやる……」
 死神博士は隣にある手術室のドアに目をやった、そこで昨日改造手術を終えた怪人が目醒めの時を待っているのだ。
「ふふふ……暴れるばかりが能じゃないという事を教えてやる、この発想は筋肉バカの地獄大使にはあるまいて……きやつの吼え面が目に浮かぶようだわ」


ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!


 数時間後……。
「うわ~! この姿はなんだ? 俺はどうなっちまったんだ~!」
 ドアの向こう側で叫び声が響く、どうやら怪人が目を醒ましたらしい。
「おお、我ながら見事な出来栄えだ、喜べ、お前は今日から怪人・ワニ男として生まれ変わったのだ」
「死神博士! 一体いつの間に!」
「うん、お前が良く眠っていたのでな、ちょっと麻酔を嗅がして……」
「え~っ!? そんな! 勝手に人を改造しないでくださいよ!」
「何を今更、そもそも見張り番の最中に居眠りしていたお前が悪い」
「それはそうかもしれませんけど、だからって改造する事はないじゃないですか! すぐに戻して下さい、元に戻して下さいよ!」
「う~ん、でももうDNAを組み替えちゃったからなぁ」
「も、元には戻らないってことですか?」
「外科手術の範疇なら元に戻せないこともないが、一旦絡み合ってしまったDNAを元に戻すというのはなぁ……」
「で、できないんですか?」
「できないこともないがな……まぁ50%の確率で死ぬな」
「あ、後の50%は?」
「なんだか訳のわからないものになるだろうな、ワシにも想像がつかん」
「うわ~! なんてことしてくれたんですかぁ~! 俺には妻も子もあるんですよ、日本に残して単身赴任して来てるんですよ、昨日だってメールを交わして……ううっ……人間の体にワニの頭部って、これじゃ帰った時、夫とも父親とも分からないじゃないですか~!」
「うん、まあ、そう言うな、この国でお前は神として崇められることになるのだぞ」
「ワニ男が神? そんなわけないじゃないですか~!」
「いいや、これを見ろ」
「なんですか~? それは~!」
「セベク神と言ってな、古代エジプトでナイル川を司る神、創造の神として崇められた神だ、どうだ? 改造後のお前によく似ておろうが」
「似てるか似てないかなんて分かりませんよ! 俺にはワニの顔の見分けなんてつきませんからね!」
「この世にワニの顔を持つ人間は二人と存在せん、セベク神の衣装を身につければ、エジプト人なら誰だってお前をセベク神だと思うぞ」
「……そ、そうですかね?……」
「間違いない、そもそも2011年のアラブ革命以来、この国では政情が安定しておらん、そんな時に神の姿をした人間が現れたらどうなる?」
「そ、そりゃ、神の再来だと思うでしょうね」
「請け合いだ、世の中が不安定だからこそ余計に神に救いを求めるだろうと思わんか?」
「た、確かに……」
「エジプト王朝の復活だよ、お前が現人神として王に君臨して、このワシが摂政として国を動かす、無闇に暴れてライダーにやられてばかりの惨めな歴史に終止符を打つのだ、これこそがスマートな征服だと思わんか?」
「まぁ……元に戻れないんならやるっきゃないですかね……」
「そうとも! そうと決まったら衣装を調達せねばならんな、サイズはMで良いかな? それともLかな?」
「特注じゃないんかい!」


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 1ヶ月後のスナック・アミーゴで……。
「みんな、これを見てくれ、本郷君からのメールだ」
「本郷さんって、仮面ライダー1号の?」
「ああ、そうだ、今は世界中を飛びまわってショッカーの企みを潰して回ってくれている」
「日本にはライダー3人にくの一、陰陽師までいるのに、残りの世界全体で1人なんですか?」
「ショッカーの本部は日本にあるからな、まあ、そんなことよりメールを読んでみてくれ、画像も添付されてる」
「なになに……なんと……」
「死神博士……考えたな……」
「新興宗教みたいなものかな」
「いや、政権打倒を目指しているらしい」
「つまり大統領に?」
「いや、大統領と言うより王になろうとしているのかも知れんな」
「う~ん、政情不安定の折だ、この作戦は当るかもしれませんね」
「本郷君も手を出せずに困っているようだ」
「そうでしょうね、神様を蹴っ飛ばしたらこっちが悪者だ」
「だが、死神博士の狙いはエジプト征服、おそらくはその先も考えているだろうな」
「間違いないでしょうね、しかし、表立って倒せないとあっては……」
「ああ、だから本郷君は結城君と晴子ちゃんの応援を要請してきている」
「なるほど、もし戦闘になっても相手はワニ男と死神博士だけですからね、5人とも行ってしまっては日本が手薄になる」
「2人とも、行ってもらえるか?」
「当然です」
「あたしも微力ながら力になれるのなら」


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「どうだ? ワニ男よ、神格化計画は順調に行っておろうが?」
「そうですね、博士、俺は偉そうに立っているだけで良いんですから楽なもんです」
「だが、そろそろ神らしいこともせんとな」
「何をすればいいんですかね」
「そうだな、ギュスターブとでも戦うか」
「ギュスターブって誰です?」
「人じゃない、300人以上を食い殺したバケモノ人食いワニだ」
「ちょっ……そ、それは……」
「心配するな、ギュスターブはここ10年ほど目撃されておらん、でかいワニをギュスターブに仕立て上げれば良いまでのこと」
「で、でも、そんなでかいワニと戦うなんて出来ませんよ!」
「安心しろ、筋弛緩剤かなにかで細工しておいてやるから」
「だ、大丈夫ですかね?」
「考えても見ろ、お前が食われでもしてたらここまでの努力が水の泡になるだろうが、それに自分もワニの顎を持っておろうが」
「そ……そうですよね」


ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!

作品名:ナイルだ! ライダー! 作家名:ST