小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

うねりと、せせらぎと

INDEX|1ページ/4ページ|

次のページ
 
(語り手:ロザリー・メイ)

その夜、私とティム、そしてフィルは、打ち上げパーティーの帰り道、トロントのとある地下鉄駅に向かっていました。駅への階段を下りるとき、私を中心に、たわいのない会話をしながら移動していました。

 ― あと数段で階段を下り切ろうとしたとき、事件は起こりました。


「しかしロザリー、君もブレない人だね」
 ティムが私をほめると、私は照れながら
「やーだ、ティムったらぁ」
 と言った直後、彼の背中をたたいたのです。その拍子に彼は前のめりになり、さらに足がもつれて体勢を立て直せず、ついには衝突音を伴い、階段のへりに後頭部を強打してしまいました。フィルは思わず、ティムの名前を叫んでそのもとに駆け寄りました。彼の肩に手を当て、
「大丈夫か?」
 と聞きました。イケメンギタリストは両手を突いてゆっくり起き上がると、
「痛たた…」
 と言いながら、ぶつけた所を押さえていました。私も彼が心配になり、そばに駆け寄って、
「大丈夫だった?」
 と声をかけました。するとティムは、まだ首と頭の間の部分を押さえたまま、
「うん、何とか大丈夫だよ」
 と答えました。しかしその直後、ちょっと苛立ったような顔で、
「でも、今度はやるなよ」
 と言ってきました。私は素直に謝りました。
「ええ。しないわ。ごめんなさい」
 彼が私にほほえみかけたので、許したのだと解釈しました。

 そして私たちは同じ電車に乗り、ティムは私とフィルより一つ前の駅で降りました。 ― そのときの彼は、いつもと変わりませんでした ― 私たちは次の駅で降り、フィルに送ってもらいました。

 陽気なパーティーのあとの、とても静かな夜でした。