詩集
個性
木が生えてる
ずっと何年も何十年も
そこに生えてる
そこに生きてる
葉のあるとき
葉を落としたとき
花が咲いたとき
実がなっているとき
その時々に
その木を知ってる人が居て
花が咲いたからわかる
実がなっているからわかる
寒い冬の姿になって
葉を落とした木でも
何の木か
知ってる人は少ない
桐の木の姿と
柿の木の姿と
欅の葉と
桂の葉と
みんなみんな違う木だけど
その名前を知らずに
木がそこに生えてること
生きていることに
無頓着に
通り過ぎる
どの木の姿も
素敵な形で生きている
個性そのもの
そしてなお
たまたま生えてしまった
その場所も様々で
川のそばも
崖のうえも
畑のなかも
山のなかも
そこに生きる姿は
同じ木でもそれぞれで
高い木低い木
だから
生きているものは皆
個性としか言いようがない
木も花も虫も動物も
人間も