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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「歴女先生教えて~パート2」 第三話

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「へえ~、死んだ人を葬るだけではなくお見送りをしたという事ですか?」

「う~ん、そうね。宗教的なことではなく、単純に仲間が死んで悲しかったことへの気持ちの表れだと思うわ。猿人から進化してきたのは身体や獲物をとる能力だけではなく、家族や仲間という意識も芽生えていたという事よね。さて、我々現代人のルーツとなる新人類が誕生する。20万年ほど前よ。代表はクロマニヨン人と上洞人(じょうどうじん)かな。スペインのアルタミラ、フランスのラスコーにこのクロマニヨン人によって描かれた洞窟壁画がある。北京で発見された上洞人の男性の身長は174センチあり、脳の体積も1500ccあったの。女性の身長は159センチで脳は1380ccだった」

「新人類の進化がホモサピエンスとなり我々の祖先なんですね?」

「望月さん、そういう事ね。20万年ほど前に人類は進化をして道具と火を使い、石器を使って獲物を捕る狩猟生活を始めた。アフリカのタンザニア地方で5000人ぐらいの人口だったと推測されるわ。その後、一部がアフリカを出て世界各地へと散らばっていったの。丸太船に乗ってアラビア半島からユーラシア大陸に入り、人口が増えたことからその地より東へ西へ、ベーリング海を越えて北アメリカから南アメリカまで移動したの。これはもちろん食料(野生の大型動物=メガファウナと呼ばれる)を追い求めてだったわね。移動手段は船が多かったの。理由はジャングルで野獣の襲撃に遭ったり、道を切り開いて進むより安全で簡単だったから。人間の歴史には古くから海や河川のルートがあったの。山は隔て海は結ぶというからね。このころには人類は50万人ほど生きていたとの推測がされている」

「いよいよ文明が登場しますね、メソポタミアとか聞いたことがあります」

「そうよ、いよいよ狩猟生活から居住地を定めての農耕牧畜生活に入って、人口が爆発的に増えるの。ドメスティケーションと呼ばれる現象ね。はっきりとは解き明かされてないけど、大型動物を追いかける生活をやめて、定住して自分たちが周囲を支配したいと思い始めたのね。これは人類の脳が進化したという事なの。植物を支配する農業、動物を支配する牧畜、金属を支配する冶金(金属器を使用する)へと進んで行く。そしてこの自然界のルールを作っているもの(自然界の摂理)にまで支配領域を広げようとして、神=GODという概念が誕生するの。肥沃な三角地帯と呼ばれる、メソポタミアからシリア、パレスチナ、そしてエジプトのナイル川流域を結ぶ地方で遺跡が見つかっている。それは何らかの目的でそれを拝んでいたに違いないと思われる土偶よ。母なる大地を神格化した大地母神(だいちぼしん)だった可能性があるわ」

生徒たちは美穂の授業に興味が湧いてきたようにじっと話に耳を傾けるようになっていた。