「歴女先生教えて~パート2」 第三話
前の工業高校のような授業の前に起立して礼をする習慣はここには無かった。扉を開けて教室に入っても生徒はそのまま顔を自分へ向けるだけだった。
「おはようございます。今日は前回の続きから話をします。覚えている人、復習の意味で話せますか?」
望月が手を挙げた。
「先生、人類の祖先は猿と同じくする霊長類から分かれて進化し、700万年ほど前には人類の祖先とされる猿人が誕生しました。そして350万年ほど前に生きていたアウストラロピテクスという個体の化石が中東アフリカで見つかりました。猿人の後に進化した原人が200万年ほど前に現れ、ホモ・エレクトウスと呼ばれるヒト属に属する種となります。二足歩行から道具を使うことで他の動物を殺傷する力を得ました。初めてアフリカから離れてアジアのジャワ島でその化石が見つかったことからジャワ原人とも呼ばれています」
「よくできました。改めて補足することもないわ。やがて60万年ほど前には地球は氷河期に入ってゆくの。原人たちは火を使って寒さを防ぎ、捕らえた獲物の食べ方も生から焼く方法に変わって寿命が延びた。恐らく子供を集団で育てる生活が始まっていたと思われるわ。中国の北京で発見された原人は北京原人(ホモ・エレクトウス・ペキネンシス)と呼ばれ、火の使用痕跡があったの」
「先生、氷河期というのは地球が凍ると言う事ですよね?そんな中でどうやって生き延びたのでしょう?」
「そうね、火が使えたという事は大きいことだったと思うわ。住んでいたのは洞窟だったみたいだから、閉ざされている空間で火を焚けばそれなりに寒さが防げたと思う。衣服も毛皮を着ていたので防寒には役立った。しかしね、増え続けた人口も氷河期が終わってみると激減していたことも事実だったから、動物や植物にとっては過酷な時代だったと言える」
「食べるものはあったのですか?」
「いい質問ね。外が雪と氷の世界だと獲物はいないと思われそうだけど、実はこの寒冷気候の時には大型の動物が繁殖したの。マンモスとか有名だよね。なので人類はそれほど獲物には困らなかったことも生き延びた理由の一つね。この時期から直ぐ後に旧人類と呼ばれるネアンデルタール人が登場する。脳の大きさも現代人と変わらない程で、イラクのシャニダール洞窟というところで史上初の葬式跡というのが発見された。この洞窟からネアンデルタール人の骨が見つかったんだけど、その周りから花の花粉も見つかっているの。つまりね、彼らは死んだ人の周りに花を添えていたという事になるのよ。」
「おはようございます。今日は前回の続きから話をします。覚えている人、復習の意味で話せますか?」
望月が手を挙げた。
「先生、人類の祖先は猿と同じくする霊長類から分かれて進化し、700万年ほど前には人類の祖先とされる猿人が誕生しました。そして350万年ほど前に生きていたアウストラロピテクスという個体の化石が中東アフリカで見つかりました。猿人の後に進化した原人が200万年ほど前に現れ、ホモ・エレクトウスと呼ばれるヒト属に属する種となります。二足歩行から道具を使うことで他の動物を殺傷する力を得ました。初めてアフリカから離れてアジアのジャワ島でその化石が見つかったことからジャワ原人とも呼ばれています」
「よくできました。改めて補足することもないわ。やがて60万年ほど前には地球は氷河期に入ってゆくの。原人たちは火を使って寒さを防ぎ、捕らえた獲物の食べ方も生から焼く方法に変わって寿命が延びた。恐らく子供を集団で育てる生活が始まっていたと思われるわ。中国の北京で発見された原人は北京原人(ホモ・エレクトウス・ペキネンシス)と呼ばれ、火の使用痕跡があったの」
「先生、氷河期というのは地球が凍ると言う事ですよね?そんな中でどうやって生き延びたのでしょう?」
「そうね、火が使えたという事は大きいことだったと思うわ。住んでいたのは洞窟だったみたいだから、閉ざされている空間で火を焚けばそれなりに寒さが防げたと思う。衣服も毛皮を着ていたので防寒には役立った。しかしね、増え続けた人口も氷河期が終わってみると激減していたことも事実だったから、動物や植物にとっては過酷な時代だったと言える」
「食べるものはあったのですか?」
「いい質問ね。外が雪と氷の世界だと獲物はいないと思われそうだけど、実はこの寒冷気候の時には大型の動物が繁殖したの。マンモスとか有名だよね。なので人類はそれほど獲物には困らなかったことも生き延びた理由の一つね。この時期から直ぐ後に旧人類と呼ばれるネアンデルタール人が登場する。脳の大きさも現代人と変わらない程で、イラクのシャニダール洞窟というところで史上初の葬式跡というのが発見された。この洞窟からネアンデルタール人の骨が見つかったんだけど、その周りから花の花粉も見つかっているの。つまりね、彼らは死んだ人の周りに花を添えていたという事になるのよ。」
作品名:「歴女先生教えて~パート2」 第三話 作家名:てっしゅう