生活保護受付窓口から
本当にこれしか言えなかった。疑わしきは推定無罪の原則にて被告人の利益を原則とする。明確な証拠がなければ裁けない。
司法がルールに則った判断をするなら、負けることはありえなない。新証拠が出ない限り、勝ったも同然なのだ。
それがまさか、あんな形でくつがえるなんて
検察官が呼び出した証人は、最初にオレの弁護を担当した人で、病院に入院してた筈の人で
弁護士はオレと面会中にオレが自白をしたと言い出した。
[罪が軽くなる様にして欲しい、もしそうしないなら、仲間が家族もろとも襲うぞ!
なども俺が言い出したらしい。
そしてそれは、今オレを担当している弁護士さんまでおよび、
「実は私も被告人に脅されていたのです」
証拠となる録音データまで提出される。
全く身に覚えがない。
いったいこれはなんだ?
俺をハメてお前らに何の得があるというのか。
冤罪だぞオレは
罪状は、強盗未遂で、詐欺未遂、恐喝罪
明確な悪意があると判断され、執行猶予はなく、懲役1年2ヶ月
オレはここから刑務所へと連行される
逮捕された時の身なりとそのままの姿で
~刑務所でないどこかにて~
「おい、ここはどこなんだ?」
「ま、まて早まるな。」
「うわーーーー!」
今オレのすぐ前にチェーンソーを持った男がいて、人を切り刻んでる。
ただ刻むだけじゃなくて、内蔵を部位別に別けていて
それはまるで家畜の屠殺の光景に似ている。
ただ人権が考慮されてないだけであり、やってることは人間が豚や鶏、牛にしているのと対して変わらない。
痛みを麻痺させるためのノッキングがされているし、
とはいえ、ノッキングする前にみえる光景がおぞましくて、あれでは怖すぎて小便ちびるだろう
怖いのはチェーンソー男の表情で、緑色のウロコ状の肌をしていて、口が裂けてて、頭皮が外側にめくれている
およそ人間とは思えない姿をした生物だが、返り血を浴びて笑ってる声が紛れもなく人間の声であり
しかし
その顔はどこかで見た事がある。
逮捕される直前、たしかに市役所で見たエイリアン。
気のせいだと思っていたが、これも気のせいなのか?
いや、痛いぞ。
やめろ
手錠がこすれて痛い
夢なんかじゃない。
なら死ぬぞこれ
このままじゃやられる。
でも、どうにもできない
やめろ
やめてくれ!
やめっーーっ
突然、チェーンソー男が倒れた
激しく唸ってる
頭を抱えて悶え苦しでいる
そのとき、俺に衝撃が走った。俺も倒れこんだ。
このエイリアンと同じく悶え苦しむ
頭に何かが入り込む感覚。
やめてくれ!
オレの記憶を
いじるな
それ以上やると
忘れてしまう
何もかも忘れる
たすけて
だれか!
わたしは一体
誰なんた?
ここはいったい??
いや、これは見慣れた景色、
いつも見ていた天井、横で寝ている囚人たち
朝、目を覚ますと、まず起床のサイレンからだ。布団を畳んで脇にどける。
そうだ、オレは万引きで捕まって、こにきて、それで
そう、オレは懲役食らって1年くらい刑務所暮らし。もう直ぐ出所の日だった。スッカリ忘れてたよ。
それにしてもなんで万引きなんてしてたんだろ? 魔が差したとしか言えないな。
あの頃の自分にリアリティを感じられない。
出所したら今度はまっすぐ生きないとな。
俺の名前はなんだっけ?、
なまぽ、じゃなくて、鈴木だった。そうそう、よくある名前なんだよ。親は___
あ、いかん、点呼がはじまる
集合しなきゃ
気合いいれて、叫ぶ
叫んだ後は
さて、
掃除そうじ
起きたらまず掃除だ!
あとがき
生ポは宇宙人に記憶を操作され、新しい戸籍を与えられた。鈴木という名で社会の家畜として生きる権利を与えられた。
理由はこれ以上語ることはできない。なぜなら、これ以上書き出してしまうと、わたしが鈴木のようにされてしまうから。作者が書けるのはこれが限界なのだ。
作品名:生活保護受付窓口から 作家名:西中