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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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3月になると思いだす

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3月の風は
温かい時もあり
冷たさを感じる時もある

学び舎に吹き付ける風が
透明なガラスに遮られ
音だけが
風の存在を表現した

教室は暖かな空気であるのに
花束が生徒たちの机に置かれているのに
その温かさや
花の美しさは

この時間
時を待つようにためらっている

「さようなら、それぞれの人生頑張れ。さようなら」

もちろん
泣きたい感情が湧く
生徒の方がさっぱりだ
分かっているさ
泣くのはしまってあるんだろうって

本当に
俺は憎まれているのかな
憎まれるほど真剣だった

教室を出ると
生徒が追ってきた
「思い出写真」

アルバムを観れば
あの時のまま
あの時のことを
3月になると思いだす

歳を重ねた分
あの、ときの
なみだがあふれる