何行目で挫折したか教えて欲しい物語
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〈座談会〉
『前世でのヤクザな記憶が蘇ったけど、ナマポにたいして失礼だっと思うわ。ごめんな』
「ナマポ? 俺、その時代鈴木だったぞ。人違いじゃない? それよかガッキー! 約束てたデッドワールドの探索忘れてないかい? 前世でモンスターハントしたいって、言ってたよね? 遺跡にはびこるモンスター退治しようよ。やばくなったらテンシに救助してもらえばいいし」
『おお、そうだったな。武器は古風な刀から弓矢、レーザーガン、魔法にいたるまで、あらゆるものがある。特に魔法は研究次第で好きなものがデザインできる。応用すれば魔方陣も作れる。なんならモンスターを捕まえて檻にいれといて檻を透明にしてさ、呪文唱えたら檻が開く感じの魔法も作っとくと、擬似的にも召喚獣を降臨させたような演出ができる』
「おおっー! たのしそう」
『デッドワールドは好きなようにデザインできるから、もしかしたら、デッドワールドそのものを擬似的に作れるかもしれない』
「デッドワールド内のデッドワールドを作ってどうするの?」
『2つの世界を自由に行き来できたら、隠れんぼのバリエーションが増える。幽霊ごっことかも可能』
「まじそれ! なんかもう、現実の幽霊の正体見切ったりみたいな。見たことないけど」
『そういえばデッドワールドの存在が公になってから、幽霊の目撃情報って急減したよな。幽霊どこいったんだろ?」
「もしかしたら、デッドワールドが幽霊の住処になってたりして。見えんから分からんが」
『前に探索隊が透明な何かに脳をスキャニングされたって噂話覚えてる? あれはデッドワールド開拓初期の出来事だから、正体が仮に宇宙人だったとしても、デッドワールド内でのステルス技術はその時点で開発できてないと思うんだわ。だからもしかして、テンシすら記憶のないずっと昔にデッドワールド内にデッドワールドを作った奴、あるいは奴らがいてさ、その世界にひっそり幽霊の様に隠れて俺たちを監視してたりして』
「それって基本的には俺らとよく似た生命体って事になると思うのだけど、」
『2000億年前にテンシが自我失いデッドワールドと融合した件について』
「デッドワールドは侵略者を排除するべくモンスターを生み出したらしい。でもこの段階ではデッドワールドは宇宙からまだ切り離されてなかったはずだ。じゃあ、そもそも誰がどうやって切り離したのか?」
『そもそも、切り離してない可能性はないの? たとえば自我を失ったテンシ、遺跡や土地、モンスターもろとも全てをデッドワールド内にデッドワールド作ってさ、そこ移動させてしまえば、宇宙とは切り離した様に見える。しかし実際は繋がってる』
「つまりテンシを含めたデッドワールド内の資源を宇宙、または地球に持ちだせるということだね」
『でもまてよ、これ素人の思いつきだぞ? 学者たちにとっては常識じゃないか?』
「みたいだね。ずっと昔に論文が発表されてる、いま検証中なんだってさ」
『検証中って、それ宇宙への旅立ちサイトの情報でしょ。今世でも、また騙さるとんのかい!』
「今回はもっと凄いんだって、宇宙中から前世の記憶をたどった情報を検証しているんだ。前よりも更に内容に説得力があるんだ」
『俺も説得力ある話を思いついたぞ。
「なに?」
『 デッドワールド内のデッドワールド(通称霊界)に行ける幽霊との出会いツアー、まもなく始まる! 』
「それよかモンスターハンターするんじゃなかったの?」
『俺の話はスルーするんかい! 」
「だって唐突たんだもん。リアクションに困るわ」
『もういい! わかったから! お前さんのいう、宇宙への旅立ち、俺もちょと見てくるから! そこでまっとけ」
作品名:何行目で挫折したか教えて欲しい物語 作家名:西中