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ともだちのうた(後編)

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 薄目を開けると、光りのなかをサラサラと砂のお城のようにくずれてゆくトムの姿があった。からだが形状を失い、細かい粒子となってこぼれ落ちてゆく。わたしは息を飲み、あわてて手ですくい取ろうとした。でもダメだった。トムだったものは、わたしの指のあいだをすり抜けて、砂時計の砂のようにまっすぐ足もとへ落ちていった。
 サラサラサラサラサラサラ
「ちょっと、なんでよ……どこ行くつもりよ……まだ、ここにいたらいいじゃん」
 怒りと悔しさで声が震えた。
 ひざからちからが抜けてその場にへたり込む。素足の部分がざらついた砂の感触を味わった。見ると、足もとまでびっしりと砂が積もっていた。
 頭上からワシャワシャと蝉の声が降ってくる。
 キィコ、キィコ、キィコ
 ブランコをこぐ音。
 走り回る子どもたちの笑い声。
 金属バットがボールをとらえる響き。
 いつの間にか、あの夢のなかで見慣れた公園の砂場に来ていた。
 目のまえに男の子の顔があった。Tシャツのど真ん中にプリントしたくなるような、まん丸い顔。そのこげ茶色の瞳が、じっとわたしを見ていた。
「さあ、ここからだっしゅつするよ。ふうちゃんのほったトンネルで」
 わたしはコクンとうなずき、目のまえにさし出された小さな手をぎゅっとつかんだ。