L K 「SOSの子守唄」
難破船から連れて来た家畜の中には、牛や馬もいた。元々は知的生命体との友好的接触を果たした場合の、地球の生命体サンプルだけど、開拓地での食肉用や、農耕の補助的労働力としても役に立っている。
牧場はミュウの遊び場でもあるのよ。ヤギがとてもお気に入り。ケイは馬がお気に入りで、よく手なずけて、乗馬を楽しんでいる。いつもキュウと追いかけっこをしているわ。彼らはこの星のテラフォーミングが進めば、馬に乗って探検に出かけるのを夢見ている。
そう、かつて私も探検家だったわ。長年宇宙を一人で探査してきた宇宙飛行士。一つの場所に留まって幸せな生活を送っていると、またスリルが恋しくなっちゃう。それに、胸騒ぎは今も続いている。じっとしてちゃいけないんだって思う時もあるわ。
遥か彼方の太陽系から、音信不通の私たちを探しに来たらどうしよう。まさかアンドロイド救出なんかに興味ないだろうけど、心配は尽きない。
キュウが開拓用重機のプラズマバッテリーを交換している。そこに牛がいて、また作業の邪魔になってるわ。
私はミュウを抱いたまま、キュウを手伝おうと近寄った。キュウから、使い終わったバッテリーケースを受け取ったところ、そこへ牛が近寄って来てしまったの。私はミュウを守ろうとその場を離れたわ。でも、牛が私に付いて歩きだしたから、ジェイが駆け寄って制止したら、牛が暴れだした。
危ないわ!
作品名:L K 「SOSの子守唄」 作家名:亨利(ヘンリー)