L K 「SOSの子守唄」
私はすぐにハッチを閉じた。
[エル。どうしたんだ。俺を締め出す気かい?]
「あなたに聞きたいことがあるの。私宛のメッセージから、どんなコマンドを受け取っていたの?」
[なんてことないさ。あんたの星に帰るってだけだよ]
「そうとは思えない。勝手に私宛のメッセージにアクセスするってことは、私以外の命令に従っているってことよね。あなたは誰に従っているの?」
[あーあ。プロトタイプは、一筋縄じゃ行かないな。普通、司令部のコマンドに従うだろうよ]
「あんな指示には従わせない」
[俺をここに置いて行くってのか? そりゃないだろう]
「いいえ。敵には手加減しません」
[こんなブラスターパックじゃ、爆発が小さすぎて、離れてる俺を吹き飛ばすことなんて出来ないぜ。それに、すべてを連動させて、こっちから起爆することだって出来るんだ]
「そんなことして、どんな意味があるって言うの?」
アッシュは、難破船に取り付けられているブラスターパックを外し始めた。私の船に取り付けるつもりだわ。
[あんたの船は手に入れるつもりだったが、諦めるしかないな]
「そんなことすれば、あなたもここから動けなくなるのよ」
[数年後に、ブラックホールに飲み込まれるのも、いいじゃないか]
私は急いでメインスラスターを全開で噴射した。しかし、トラクターウィンチのワイヤーは頑丈で外れない。
作品名:L K 「SOSの子守唄」 作家名:亨利(ヘンリー)