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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 「SOSの子守唄」

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プロローグ



 目が覚めると、いつも耳鳴りがする。
 体が冷えているわけではないのに、暫くは足を思い通りに動かせない。

 喉が渇くのは、眠りに就く前の飲食を、一切制限されているから。誰に急かされるというわけではないので、もう一度ゆっくりと目を瞑り、起き上がる気力が湧くまでは、ゆったりと時間を過ごそう。

 船は予定通り航行しているようね。アラームは一切聞こえない。一年ぶりの人工睡眠から解放されて、また一週間のメンテナンス作業に就き、再び一年眠る。

 起き上がって一番にすることは、飢えた体へのエネルギー補給と、鈍った体を回復させる軽い運動。この手順も、もう百回以上繰り返してきた。つまり、太陽系を飛び出してから、既に100年以上こうしているわけ。たった一人で。

 光速を超えることが出来ない以上、人間は人工睡眠を利用して、外宇宙への旅を続けるしかなかったから。

 一度旅立つと、二度と故郷には戻れない。