HIKARU GENJI 2017
他サイトのお題コミュニティで書いたものです、お題は「光」「鏡」そして「ドラックストア」でした。
タイトルからお分かりのように、あの光源氏が主人公です、これでお題一つクリアです(笑)、その彼が、ドラッグストアの更衣室に置かれたスチールロッカーに張られた鏡から、時空を飛び越えて現代へ、これでお題三つともクリアです(笑)(笑)
ですので、後は好き勝手に書かせてもらいます、え? そもそも光源氏は実在していない? それ、誰か確認されました?(^^)
あらかじめお断りしておきますが、『源氏物語』読んでませんm(-_-)m
高校から理系コースでしたので、古文もまともに勉強してませんm(-_-)m m(-_-)m
平安貴族の生活とか、言葉遣いとかわかってませんm(-_-)m m(-_-)m m(-_-)m
ですから、完璧なまでにいい加減です、源氏物語ファンの方が読まれたら、おそらく気を悪くされますm(-_-)m m(-_-)m m(-_-)m m(-_-)m
「私は大丈夫、気にしない気にしない」と仰る方のみ、この先へお進み下さい、R-18ならぬR-GENJI fanですm(-_-)m m(-_-)m m(-_-)m m(-_-)m m(-_-)m
取り扱い上の注意義務は果たしたので、クレーム等一切、お受けできません -t( ^o^)。o 0 プハー
HIKARU GENJI 2017
「きゃっ! だ、誰? あんたいったい何者なの?」
重美は思わず飛びのいた。
そりゃロッカーを開けたら急に男が飛び出てくれば、誰だって驚く。
ドラッグストアの事務室兼更衣室、壁際に並べてある何の変哲もない、古くなってガタが来ているグレーのスチール製ロッカーだ。
(なんで事務用品ってグレーなんだろ、ピンクとか言わないから、せめてクリーム色とかアイボリーとかにすればいいのに)と常々思っていたのだが、今はそんな事はどうでも良い、そんな場合じゃない。
ただ……どうやら変質者とか泥棒の類が隠れていたのではなさそうだ、転げ出して来た男自身が重美以上に驚いている風だし。
それに、認めるのは悔しいけれど、自分が変質者なら3Lの服がかかっているロッカーを物色したりしない、どうせ物色するならSとかMとかの方が良いに決まってる……。
なにしろ、重美は3Lのベストですらボタンが吹っ飛びそうなのだから……。
重美はしげしげと男を見た。
妙な格好だ……まるで平安時代から抜け出して来たような……。
歳も相当に若い感じ……15~6歳か……。
「あんた、誰? 名前は?」
「光源氏」
「は?」
「ひ・か・る・げ・ん・じ」
「なにもひらがなで答えなくて良いわよ、それにそうやって一文字ずつ区切る時は普通カタカナでしょ?」
「だって、平安時代にカタカナねぇもん」
「はぁ? その時代にまだないなら、なんでカタカナって何? とか言わないのよ」
「作者の怠慢じゃねぇの?」
「うっ……まあ、いいよ……千年前から来たって、どうやって?」
「わかんねぇよ、なんか、御所の端っこにある納戸にもこれと同じようなモンがあってさ、なんだろうと思って中を覗いたら、やたら写りのいい鏡があったんだよ、こりゃ女にやったら喜ぶだろうな、と思って外そうと触ったらいきなり吸い込まれちゃってさ、それからしばらくあの狭い箱の中にとじこめられてたってわけ」
「鏡って、これ? 扉の裏側に貼り付けてあるやつ?」
「あ、そうそう、それ、向こうのにも同じ鏡が付いてた」
「これに触ったら、やっぱり吸い込まれちゃうのかな……」
「あ、そうか、だったら、俺、戻れるかもな」
「俺、って……あんた、本当に光源氏? 平安貴族にしちゃ言葉遣いがおかしいじゃん」
「まあね、人前じゃ『麻呂は』とか『おじゃる』とか言ってるけどさ、メンドーじゃん」
「へぇ、そんなもんなの?」
「そんなもんだよ、年寄りには『最近の若いのは言葉遣いがなっとらん』とか言われてるし」
「アハハ、今とおんなじだね」
「それはそうとさ、さっき千年がどうとかこうとか言ってたよな」
「うん、もしあんたが本当に平安時代から来たんだったら、千年経ってる」
「へぇ、人間って進歩しないもんだな」
「余計なお世話、でも鏡はその頃とは全然違うでしょ?」
「あ、そうそう、向こうにある鏡ってぼんやりとしか写らねぇの、水鏡の方がマシってくらい」
「ふぅん……鏡には魔力があるとか今でも言うもんね……もしかしたら向こうに戻れるかも知れないね」
「ああ、そうかも知んねぇ」
「やってみなよ」
「え~っ、なんか怖ぇよ」
「男でしょ?」
「千年前と同じだな、不美人に限ってそういうこと言うんだからよ」
「つべこべ言わない!」
ドンッ!
「わっ!」
重美が突き飛ばすと、はたして光源氏……と名乗る男は鏡に吸い込まれて行った。
「お~い、大丈夫?」
鏡に呼びかけると、返事が帰って来た。
「いてて……いきなり突き飛ばすなよな、馬鹿力なんだからさ」
「余計なお世話、でも良かった、戻れたみたいね」
「ああ、扉も開きっぱなしだったから外にも出れたし」
「体はなんともない?」
「ちょっと手をすりむいた以外はね」
「あたしも行ってみようかな」
「無理だと思うよ」
「なんでよ! それならいい! 勝手に行くから!…………あわわ! ひっかかった」
「だから無理だって言ったじゃん、鏡の大きさと自分の身体を見比べればわかりそうなもんだけどな」
重美のお尻が鏡を通過できなかったのだ……サイズ的に。
「あんた、引っ張りなさいよ」
「なんで俺がそんなことしなくちゃならないんだよ」
「みなまで言わせないでよ、後ろにも戻れないのよっ!」
重美と言う名前……親はどういうつもりで名づけたのかわからない、悪い人たちじゃないけど抜けてるところは確かにある……あんたたちの娘が細けりゃいいよ、細けりゃ……でも3Lでもパンパンの身体で『重美』なら、誰だって『しげみ』じゃなくて『おもみ』って読むじゃん。
もう……涙が出ちゃう……女の子だもん。
「しょうがねぇなぁ」
涙も少しは効いたのだろうか、光源氏……と名乗る男は重美を引っ張り出してくれた。
……勢い余って重美の下敷きになってしまったが。
「ぐえっ、晴明の呪術で潰された蛙の気持ちが良くわかる」
「ひど~い、けど、ここはお礼の一つも言わなきゃいけない所だね、アリガト」
「礼より先に降りてくんねぇ?」
「あ、ゴメン」
「シィッ」
光源氏……と名乗る男が人差し指を唇に当てた、廊下をパタパタと歩く音が聞こえて来たのだ。
「源氏の君、いかがなされました?」
「いや、大事ない」
「なにやら大きな音がいたしましたが」
「はは、大きな箱を倒してしまってね」
「もしや、お怪我を?」
「いや、なんともない……まだ少し探し物があるによって、構わぬように」
「では、ここでお待ちいたしまする」
「いやいや、それには及ばない、下がっていなさい」
「はい、お言いつけとあれば」
足音が廊下から遠のいて行く。
「へぇ、あんた、ホントに光源氏なんだね」
「そう言っただろ?」
作品名:HIKARU GENJI 2017 作家名:ST