何かあるの?
「明日の、植木市の件だけど…」
金曜日の夜、文月さんに睦月さんから電話が掛かってきます。
「駅前のいつもの所に、10時でしょ?」
「─ 行くの、止めても良い?」
話が見えない文月さんは、睦月さんに説明を促しました。
「…何か、あったの?」
「さっき手帳見たら、消えちゃってたの…予定が。」
「─ え?」
「消えたって事は、行かなくても良いって事だよね?」
「…」
「─ 行かなくて良いなら、あんまり行きたくないかなって…植木市」
軽く言う睦月さんに、文月さんが重たい声を響かせます。
「む・つ・き」
「…はい?」
「─ 私、明日の予定を開けるために、それなりに苦労したんだけど。」
「そ…そうなの?」
「後、どう行くなら楽しもうと、下調べしまくったって、知ってた?」
「─」
「で…どうする?あ・し・た。」
文月さんに問い掛けに、睦月さんとしては こう答えるしかありません。
「─ じゃあ、明日は、駅前のいつもの所に、10時と言う事で…」