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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「歴女先生教えて~」 第三十九話

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「渡辺くん、今でははっきりとした証拠が無いから言及はしていないけど、浪人者とか新選組とかに思われがちだよね。剣の達人だった龍馬を殺せるのは同じく剣の達人でなければならないとするとそう考えたくなる。龍馬の前に座っていたのは同士の中岡慎太郎だった。彼もまた屈強な剣の使い手だったから、二人して簡単にやられる訳がない。内通者の仕業よね。顔見知りだったから油断した。それも女性にね」

「そんなことが解っているのですか?」

「まったく視点を変えて検証した歴史研究者がいるの。通常の思考回路では思いつかない視点で暗殺の現場と状況を考証すると、やはり先生が考えているのと同じ、龍馬と中岡は部屋の中で争って剣では倒せないとなるの。唯一あるとしたら、中岡がいきなり剣を抜いて龍馬に斬りかかることぐらい。でも二人は刀を手元に置くのじゃなく、床の間に置いていた。つまり宴会でもしていて、上機嫌だった様子が予想される」

「では、その宴席に突然刺客が襲い掛かったという訳ですか?」

「近江屋では狭い階段を上がって、隅の部屋に居たの。階下には見張りが居たから考えられない。見張りをよく知る人物が複数で来たのなら別だけどね」

「どうして二人は斬られたのでしょう?」

「簡単に斬られるべくして斬られたということは、泥酔したか、毒を盛られたかよね」

「毒?ですか?」

「うん、日本ではよくある殺し方ね。徳川幕府でも将軍の毒見役がいたし、大名はみんな食事には気をつけていた。龍馬もそうした中で安心して口にしたとすると、それは女性だったのではないかと思われるのよね」

「舞妓とか、仲間の誰かの妻だった人とかでしょうか?」

「龍馬や中岡が良く知る仲間であり、女性は俗にいう飲み屋の女将さんで、さる藩の武士の妻になっていた人物。頼まれた相手は薩摩藩だということになっているけど、お金を出したのは岩崎だとその歴史家は推測している。公武合体に動き始めた龍馬が邪魔に感じていた薩摩藩と、海援隊が邪魔に感じていた岩崎の思惑が一致したと言う事ね。もちろん実行を仲介した人物が黒幕だけど」

「それは決して語られてはならない真実ですね」

「うん、そう言うこと。事件や政変の裏側には必ず利権が結びついている。そこから物事の真相を見て行けば、案外意外な人物が隠れていることが発見できるのよ」

美穂はいよいよ生徒たちに日本のかじ取りを誤らせた本質を語る時が来たと考えていた。