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てっしゅう
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「歴女先生教えて~」 第三十九話

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美穂は孝明天皇を暗殺したのは伊藤博文だと推測されると話していた。

「ええ?まさか父を殺された明治天皇の仕返しですか?」

「いいところを突くわね。でも明治天皇は孝明天皇の実子じゃないということが事実なら、あり得ないことよ。先生は影の黒幕が刺客を雇って伊藤を殺したと思うの。安重根には申し訳ないけど、真犯人はいるのよ。証拠もなく、全くの証言も残っていないから、関係者はあの世まで秘密を持っていったのよね・・・」

「そんな黒幕が居たのですね?」

「どこの国でも秘密の結社とか暗殺団とか言うものが存在するの。大きな利権と結びついて、警察権力や国家権力では介在できない裏の仕事をするの。国家のスパイを殺すとか、財閥の利権を犯したりするものを葬る。あの龍馬もそうした一団からの暗殺依頼があったと言われているわ。伊藤もその黒幕にやられたとしても不思議じゃない。なぜか?伊藤が居なくなって一番喜ぶのは誰なのか?と言う事よね」

「先生、孝明天皇の死が病死であったとすれば、明治天皇は正当な後継ぎだということになりますね?」

「ええ、そう言う事ね。そうすることが明治政府の使命。安重根の伊藤が孝明天皇を殺したという発言はあらゆる手段で否定された。当然よね。クーデターではなく悪い徳川政権を打ち破った義挙だとすることが最大の意味として後の世に伝えることが政府の仕事でもあったものね。
維新の立役者だった薩摩の大久保と西郷が憤死して、西南戦争のさなかに木戸も病死して、残された維新の政治家でトップに立ったのは長州の伊藤だった。長州藩は関が原から徳川幕府には煮え湯を飲まされ続けてきた。818の政変(1863年8月18日=旧暦、公武合体派の会津・薩摩藩が尊王攘夷派の長州藩を同じく急進派公家たちと共に京都から追放したクーデター)で京都の守護から追放され、七卿落ちと言われる下級公家たちと国元に帰国して、第一次・第二次の長州征伐で朝敵の汚名を着せられたの。そんな長州藩は徳川幕府と会津藩には特別な感情を持っていた。薩摩藩と同盟を結び薩長土(薩摩・長州・土佐)が団結して維新を成功させた。その薩摩と土佐から長州が政治のトップに立ったの」

「長州派閥だけで明治政府を牛耳ってゆく構図となるのですね」

「高木くん、そこに今回の事件の黒幕の影が見えるわ。残された元勲山県有朋に物申すことが出来る人物。誰なのかは解らないけど、西南の役の海運業で大儲けした三菱財閥の創業者岩崎弥太郎は土佐の出身だった。同じ土佐の坂本龍馬が行っていた海運業の海援隊が龍馬暗殺で没落し、代わって岩崎率いる三菱が政府と結びついて巨大化してゆくの。この岩崎家の弱みを握っていた人物が明治政府の大きな後ろ盾となっていた。間違っているかも知れないことを恐れずに言うと、三菱を大きくさせたのは龍馬暗殺から。彼が生きていたら明治になって貿易・海運・教育と三菱以上に巨大な事業を展開していたと推測する。そのチャンスを暗殺によって奪われたことは、誰かの得をする理由が暗殺の理由と結びついていると考えるわ」

「先生、龍馬暗殺は京都守護の新選組とか見回り組と言われていますよね。違うんですか?」