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霊感少女

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霊を呼ぶ男




【田村 雅人】


何処にでも居る
特徴のない男子高校生


男子校のデザイン科に
在席している


不器用そうな指先から
繊細な程 細かい線で
課題を製作し


どちらかと言えば
男臭い雅人が
好んで使う色は
パステル系が 多い


相楽は 雅人の絵が
好きだった


優しくて 暖かい絵


その割りに
雅人の大胆不敵で
がさつな性格なのが
納得できない


寝癖の髪
首回りが 弛んだシャツ
剃り残しの髭


何処を取っても
相楽の好みでは ない


匠な話術もなく
気配りもせず
愛想も よくない


極めつけは
頭も 悪いときている


雅人には 悪いが
正直 友人に
紹介する気には
なれなかった



ただ 雅人の体から
発光する藍色のベールは

心から癒す力があった



霊感の強い相楽は
日常生活の中ですら
疲れやすく


雅人の体に触れるだけで
疲れ切った体が
癒されてゆくのを
感じていた



体を重ね合うたび
藍色の発光体に
包み込まれる瞬間が
堪らなく
幸せを 感じていた


雅人の発光体は
不思議な力が ある



それは
生命体を持たない
霊体にも発光体の
波動が 届くらしく


雅人と擦れ違う霊体が
雅人の波動に触れると
見えるはずもない
雅人に向かい
懸命に何かを
語りかけてくる



不思議な 現象だ



当の雅人は
まったく気付かず
霊体が触れている肩を
ボリボリと掻きむしり
暢気な顔で 欠伸をする



雅人には 霊感が
恐ろしい程ない



そんな発光体は
勿論 霊体だけでは なく


さ迷う霊魂をも
引き寄せた


異空間に生存する霊体は
反応しない雅人に
首を 捻りながらも
離れて行くが


霊魂は 違う


必要以上に 雅人に
纏わり付いてくる



霊感の強い相楽は
そのたびに
被害を 被った



離れる事を 許されない
地縛霊が 雅人に
恐ろしい程の憎悪と
怨念を剥き出しに


醜く変わり果てた
露骨な姿で
威嚇をするのだ



そこまで
霊魂が 敵意を現すのを
見せられるのは


雅人と一緒に
居る時に 限られていた



霊魂は 自分の陣地を
荒らされる事を
恐れる様に



雅人の発光体に
酷く怯える事もあった



当然 雅人には
見えていない


どんな威嚇も
雅人には 関係ないのだ



そのたび
見えてしまう 相楽は
寿命を 擦り減らす
思いだった


一番 厄介なのは
浮遊霊だった



霊道と呼ばれる
道を 外れ
行き場を 見失うなった
霊魂



波動の合う生命体を
さ迷う様に 浮遊し
波動に取り憑き


我が者の如く
浸蝕を繰り返す


知らずに憑かれた
人の中には
意識を断絶され
霊魂に支配される事も
稀な事だ


浮遊霊は 雅人の波動に
絡み付き 必要以上に
取り憑くが


やはり 雅人は
不動の一点張り


浮遊霊を 連れたまま
平然としているのだ


その為 浮遊霊の
持ち帰りを するので


霊感の強い相楽には
最悪な事態に
遭遇するはめになるのだ



浮遊霊も 次第に
精魂尽きるのか


雅人から 離れていく



【霊を呼ぶ男】


霊感は 果てしなく
ない


作品名:霊感少女 作家名:田村屋本舗