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田村屋本舗
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霊感少女  第一章

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番外編黒い男事件




あれから 数年後

僕は 一人暮らしをしていた

築25年の古いアパート

相変わらず 僕は霊感がない

鈍感なのだろうか


そんな時に 相楽を思い出す事件が 起きた



今だに 霊を呼ぶのか
最初から その部屋にいた霊なのか解らないが
どうやら [黒い男]と 同居しているらしい


少し霊感がある友人[森川]が 家に泊まった時に 黒い小柄な男が 天井に張り付いて 真下で寝る森川を 見ていた事が あったそうだ


僕に気を使い 森川は胸の奥に収めてくれていた

また別の日

水商売をしていた僕は 昼夜 逆転の生活をしていて 友人と出掛ける予定がある時は 玄関の鍵を開けたままにし 友人[高橋]に起こして貰っていた

その日は たまたま 寝室にしていた奥座敷に寝ず 手前の和室で 僕は コタツで寝てしまった

高橋は 僕を起こす前に 締め切りの襖を開けた

勿論 奥の座敷に 誰も居るはずもない

しかし 高橋は 奥座敷の真ん中で 黒い男が寝ている姿を見て 慌てて襖を閉めたらしい

揺さ振り起こされ
「誰か居るぞ」
と必死で言う 高橋の言葉は寝ぼけていて なんだか解らなかった

「…ぁああ?」
襖を開けると 黒い男の姿はなく
「嘘だろ!絶対居たって!」
と 当たり所のない怒りが込み上げた高橋は
「ざけんな!」
と怒鳴り声を上げた

そんな体験をした友人二人と もう一人の友人[小野崎]と僕の四人で 麻雀をしていて
黒い男の話題になった


納得のいかない高橋は
「絶対に居た」
と言うと
「確かに居る」
と 最初に見ていた森川が 同意を告げた


黒い男を見た物同士で
「背丈が小さくて」
「全身 真っ黒で」
「オヤジ」
「そうそう」
「顔面も真っ黒だった」
「でもオヤジ顔」
「一回り小さい人間」
「宇宙人みたいなんだろ」
と 共通点があり 細かい所まで一致していた


そんな話を聞きながら 相楽を思い出していた


黒い男は居るのだろう


まったく話題に入れない 小野崎は
「マジかよ 見てぇ」
と 冗談混じりに笑っていた


興味を持った小野崎が
「俺 見た事ねぇからさ 今度 泊めてくれよ」
と 軽々しく言った時は 流石に 二人の表情が固まっていた



後日 案の定 泊まり来た小野崎は さらになる 恐怖に襲われる嵌めになる


全く 霊体験のない小野崎は
初めて 金縛りになった

真横に寝ている僕を 必死で呼ぶが 声が出ない
「ん…ん…んん…」
と 鼻から微かに発するしか出来なかったそうだ

黒い男は 小野崎の顔の目の前で 小野崎を覗き込み
虫歯だらけの口で ニヤッと笑い 上半身だけの姿で 笑いながら部屋の角にス~っと消えて行ったそうだ

金縛りが解けた小野崎に
無茶苦茶な力で起こされた僕はパクパクと口を動かし怒涛の涙を流す小野崎の手を握って 同じ布団で寝るはめになった



よく 霊感の強い人と居ると 一緒に見せられてしまう事がある


だが 僕は 一度も見た事も 気配を感じた事もない


相楽が
「雅人は霊を呼び寄せる」
と言うが


逆に 呼び寄せられた霊達も
(こんなはずでは…)
と 思っている気がして

申し訳なくなる


だが
見えないものは
見えない


あきらめてくれませんか?


≡END≡


作品名:霊感少女  第一章 作家名:田村屋本舗