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御手紙 葉
御手紙 葉
novelistID. 61622
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twinkle,twinkle,little star...

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 私が強くうなずいてそう言うと、亜稀ちゃんはどこかほっとしたような顔でうなずき返し、「わかったわ」と言った。
 そうして私達はコーヒーを再び口に含み、しばらく会話を楽しむことにしたのだった。

 私は星空を見つめて夢の話をする美夕ちゃんを見て、私も自分の道を進んでいっていいのかもしれない、とわずかに思うことができた。亜稀ちゃんの言っていた通り、こんなチャンスはめったにないだろう。新しい仕事が果たして務まるのか、自分でもよくわからなかった。
 でも、星の近くで、仕事ができるのなら、そんな嬉しいことはないような気がした。美夕ちゃんが次第に静かになって、星空に見入ってる中、私は一人その輝きの中にある道筋を探そうとして、考え続けていた。
 とにかく一歩を踏み出そう。自分にどこまでできるかわからないけれど、それでも自分を信じて精一杯進もう。
 私はそう心に決めて、小さく拳を握った。
 その夜、亜稀ちゃんにその仕事について面談を受けることを伝えた。亜稀ちゃんは最後にこんな言葉を残していった。
 小さな星でも輝けば、その光は必ず誰かの元へと届くかもしれないわね。
 私はふっと微笑み、ありがとう、と言った。

 その一週間後、私は今の仕事を辞めることを告げた。上司は私に対して罵声を浴びせることなく、ただこれからどうする気だ、と聞いてきた。私は俯き、言葉を探したけれど、最後には顔を上げて言った。
「私を必要としてくれる人のところで、精一杯やろうと思っています」
 そこで罵倒されるかと思ったけれど、返ってきた言葉は意外なものだった。残念だ、と彼は言った。そして、何か思い悩むような寂しそうな表情を見せた。
 私は会社を後にし、家に帰って呆然と天井を見上げた。なんだか泣きたい気持ちになってくるのがわかった。今までずっと堪えてきた涙が溢れ出てきて、抑えようがなかった。
 何故もっとうまくできなかったのだろう、と自分の力のなさが情けなかった。でも、泣いていた時、ふと実家から送られてきた家庭用プラネタリウムが目につく。私はそっとその電源を点け、部屋の電気を消した。
 その瞬間、音楽と共に星空が浮かび上がり始める。あの実家で広がった夜空が今、そこにあった。これを見ていると、本当に心が安らいで、そして考えていることがシンプルにまとまっていく。
 私は今、できることを一つ一つやって、人の心に星々の明るさを灯していこう。
 そう思っただけで、次の仕事を精一杯やりたいと思えてくる。
 眠りに引き込まれて、意識を失ってからも、まだどこかに光が見えていた。それは小さな小さな明かりだったけれど、その輝きは私の元へと確かに届いていた。その小さな星が、いつか一等星になって輝くことを夢見て、私は歩き続けるだろう。

 Twinkle,Twinkle,Little Star......