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daima
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JK達の勇気を食べて僕の虫歯は加速する

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泣いてる由紀ちゃんをこのまま放置もしてられない。うーーーーーーん……。


うーーーーーーーーーーーーん……。


「ごめん! 明日絶対受け取るから!」


僕は結局、なかば強引に電話を切ることしかできなかった。

気持ちを切り替え部屋へと急ぐ。がんばれ僕!


「あれ? 大丈夫?」


意外なことに、部屋に戻ると由紀ちゃんはもう泣き止んでいた。

それどころか、床にあったチョコレートを綺麗にテーブルの上に並べている。


「ごめんね島井さん、あたしって酷いね。この人達の気持ち……、一番わかってるはずなのに」

「ゆ、由紀ちゃん……」


不謹慎かもしれない。……でも。

今世紀最大級の可愛さ!

浪漫飛行へーin the Sky! 飛び回れーこのー my heart♪


僕はステレオコンポの電源スイッチを入れながら、今まで隠していた『雄』のスイッチを押した。


由紀ちゃんのショートカットを優しく両手で包みこむ。おでこに口づけ、鼻に口づけ……。そして唇へ……。

いつもは背もたれ替わりでしか使ってないベッドを本来の用途へ昇格させようと、震える少女の体を誘う。


抵抗と求めの間で迷い、抗う両の手を無視して、力任せに制服のボタンを外した。

そして、予想に反した真っ白なスポーツブラが目の前であらわになった時、僕は冷静さを取り戻した。


「島井さん、……こわい」

「ご、ごめん!」


涙目の彼女をベッドに残して、半裸の僕は飛び出した。


「……?」


自分の気持ちだけで突っ走ってしまった後悔を隠せずにいた僕の手を、由紀ちゃんの火照った掌が掴んだ。

まるで、大人の階段へと続くドアノブに手を掛けるように。 

強く……ぎゅうっと。


「……待って」


決心した少女は、はだけた制服を自らの手で全て投げ出し、一歩目の階段を蹴った……。




「ホワイトデー、なんか欲しい物ってある?」
  

「今度、バレーボールの交流大会が島井さんの〇大付属であるよね?」

「え、あぁー由紀ちゃんとこも出場するんだっけか」

「うん、そうそう。あたし応援に行こうと思って。それでね……」

「それで? どうした?」

「迎えに来て欲しいの、校門まで」

「校門って……ウチの? 別に、お安い御用ですけど。ホワイトデー、そんなんでいいの?」

「うん!」

「マジで!?」

「うん! 約束だからね。絶対だよ!」



              *



―そして、バレー大会当日。 


僕の考えが甘かった。これはハッキリ言って 拷問だーー!


「え? なんか言った?」

「いやいや、なんも言ってない……です」


我が校の校門から体育館までは、直線距離にして約百五十メートル。校舎正面とグランド間の道を突っ切って通らなければならない。

すなわち、体育館に到達するまで各教室の全校生徒から丸見えとなるのだ。

生徒会長と他校の見知らぬJKがバージンロードよろしく歩く姿に、案の定、窓という窓は教室にいる生徒の顔で埋め尽くされた。


視線が痛い……。勿論多感な高校生達、見ているだけでは終わらない。罵声、歓声、冷やかし、怒号に悲鳴。あらゆる声が一斉放射され始めた。


「キャーなにあれ!」 「絶対私の方が可愛いし」 「会長の彼女めっちゃ可愛いじゃん」 「いいぞ会長ーー!」 「ふざっけんなブス!」

「えー、島井くん彼女いたんじゃーん」 「キース、キース!」 「会長なんかと別れて俺と付き合ってー」 「さいってー、こんなとこよく歩けるわ」


由紀ちゃんが悪戯っぽく笑いながら言った。


「これでアタシ達、公認だね……エヘ」

「いや、僕は決して秘密にしてたわけじゃぁー、ん?歯……痛てっ!」


……まぁーいっか。

この分じゃ来年は、虫歯からは開放してもらえそうだしね。



〈了〉