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われらの! ライダー!(第四部)

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 レディ9が撒きびしと煙玉で戦闘員の動きを封じ、視界を奪うと、ライダーマンのロープアームの先端についたフックがスーパー戦闘員達のヘルメットを弾き飛ばす、そして強力な睡眠薬を仕込んだ吹き矢が首筋を襲い、アタッチメントアームから催涙ガス弾が発射される。
 スーパー戦闘員達は、3分であらかた片付いた。

「レディ9、ライダーたちの援護を!」
「もちろん! ダーリンが心配だわ! どうすれば良いの?」
「私がドリルアームで岩の上部、最も薄そうなところにに穴を掘る、君は火薬を仕込んでくれ」
「岩が大きすぎるわ、とても吹き飛ばせない」
「小さな孔でも空けられれば明かりが入る」
「そうね! やりましょう!」

 ライダーマンが岩の上部で穴を掘る間、レディ9はクモの巣で僅かに残った戦闘員を封じる。
「ドリルの長さはここまでだ、まだ貫通していない、レディ9、後を頼む」
「任せて!」

(あなた、どうか無事でいて、今明かりを……)
 そう念じながら手持ちありったけの火薬を詰め込み、導火線に火をつけた。

ボン!

 くぐもった爆発音が響いた。
「孔は? 空いたか?」
「ええ! 小さいけど貫通したわ! ちょっと待って……二人の声が聞こえる」
「レディ9、その孔からメゾソプラノで『ラ』の声を吹き込んでくれ!」
「え? どういう事?」
「モグラが嫌う周波数なんだ!」
「わかった!」


ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!


「うぐぅぅぅ……」
 モグラ男が耳を塞いで後ずさりを始めた。
「ライダーマンとレディ9だな?」
「この声は志のぶだ、モグラ男はどうしたっていうんだ?」
「おそらくモグラの嫌いな音なんだろう」
「失礼な奴だな、人の恋女房の声を……だが、助かった、少しだが明かりも漏れてる、おぼろげだがモグラ男の姿が見えるぞ!」
「ああ、チャンスだ! この狭い中で、地面も穴だらけとあってはこれくらいしか出来ないが……とぉっ!」
 ライダーは壁を蹴ってモグラ男に飛びかかり、その後頭部へとキックを繰り出す。
「ライダー! 延髄切り!」
「ギャア!」
 モグラ男はもんどりうって地面に転がった。
「ライダー、甘い奴だと思われるかもしれないが、せめて止めは俺が……」
「待て! マッスル!」
「この期に及んで手加減などしないさ」
「そうじゃない、電子音が聞こえないか?」
「ん? 確かに……かすかだがピピピと……え? モグラ男の体内からだぞ!」
「しまった! これは自爆装置だ!」
「何だって!」
「この密閉された洞窟で爆発されたら我々も危ない! 早く脱出しなければ!」
「ああ! とにかく力を合わせて入り口を塞いでいる岩をどけよう」
「急げ!」

 と、その時だった。
 モグラ男が再びトンネルへ入ったかと思うと岩の前から姿を現した。

「そこをどいてくれ! 中沢! ライダーマンならお前の自爆を何とか止められるかもしれないんだ!」
 マッスルの心からの叫び……それに対して、モグラ男は軽く会釈をしたように見えた。

「え?……今のを見たか? ライダー」
「確かに……頭を下げたように見えたな」

 モグラ男は猛然と岩を掘り始めた。
 モグラの能力を持っていると言っても相手は岩、簡単に掘れるものではないが、爪が折れ、指から血を流しても掘ることをやめようとしない。
 そしてようやく体が嵌るほどの穴を開けると、岩の方を向いたまま軽く手を振り、穴にもぐりこんだ……。

 その瞬間、目もくらむ閃光と地を揺るがす爆発音……。

 伏せていたマッスルとライダーが顔を上げると、モグラ男は跡形もなく飛び散り、その代わりに岩には大穴が開いていた。

「中沢……お前……」
「どうやら、彼は脳改造を受けていても人間としての記憶を完全に失ってはいなかったようだな」
「ああ……」
「それとも、君の心が通じたのかも知れないな……マッスル」
「…………くそっ!」

 洞窟から飛び出したマッスルは大声で叫ぶ。

「死神! 姿を現せ! 俺はお前を決して許さないぞ!」

 しかし、そこに既に死神博士の姿はない。

「マッスル、ライダー! 無事だったか!」
 ライダーマンとレディ9が駆け寄る。
「ライダーマン! 死神は? 奴はどこへ? 俺は絶対に奴を許せねぇんだ!」
「すまん、今の爆発に乗じて逃げたようだ、見失ってしまったよ」
「くそぅ……くそっ、くそっ、くそっ」
 ガックリと跪いたマッスルはこぶしで地面を叩き続ける……それをやめさせたのはレディ9だ。
「あなた……」
 背中からそっと抱きついたレディ9、その手を取ったマッスルは地面を叩くのをやめた……そしてそのマスクから僅かに露出した顎から滴り落ちたのは、おそらく汗ではない……。


ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!


「ライダーマン、脳改造を受けても人の心は残るんだろうか……」
 アジトに戻り、ソファに疲れた体を投げ出したライダーはそう問いかけた。
「どうだろう……科学的、医学的には考えにくいことだが……」
 ライダーマンは自分の左胸をぽんと叩いた。
「心ってものはここに宿っていると感じる事はないか?」
「……確かにあるな……」
「だとしたら、生きている限り、心臓が動いている限り、人は人の心を持ち続けられるのかも知れないな……私もそう感じることがあるよ」
「そうか……」
「つまり、ショッカーがどんな改造を施そうとも、人の心を完全に奪うことは出来ないのかもしれないな」
「それでも俺たちは怪人を倒し続けなければならないのか……」
「ああ、そうだな、しかし、憎むべきはショッカーだ、やつらを倒すこと、それが悲劇を繰り返させないことになるんじゃないかな」
「ああ、確かに……マッスルは大丈夫かな……」
「ああ、大丈夫だろう」
「なぜわかる?」
「志のぶさんも私と同じことを言っていたからな……彼女がついていてくれさえすればマッスルは大丈夫さ」
「そうだな……」
「一日でも早くショッカーを壊滅させること、それが私達ライダーチームの使命なんだ……最後の戦いはいつか必ずやってくる、それまでは感傷に浸っている暇はないんだ」
「きっとマッスルもそれはわかっているんだろうな」
「ああ、情にもろいところはあるが、正義感も人一倍の彼だ、きっとわかっているさ……」

 ライダーとライダーマンは、窓から夕日を見つめながら決意も新たにするのだった。


   (心を強く! ライダー! 終)