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カップ半分だけ…

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「コーヒーを、カップ半分だけ頼みたいんですけど…」

 初見の女性客の注文に、喫茶店のウェイトレスは戸惑います。

「えーとー」

「お金は、1杯分払いますから、お願いします。」

 困ったウェイトレスは、カウンターに助けを求めました。

「マスター、どうします?」

「─ お出し してあげて」

 ウェイトレスに指示した店主は、彼女に向かって微笑みます。

「お客さん、お金は半額で、結構ですから。」

 店主の言葉を聞いて、嬉しそうに笑みを浮かべる女性。

 彼女は、運ばれて来たコーヒーを、まるで常温の水でも飲む様に、一気に飲み干し、半額分のお金を払って、店を出て行きます。。。

作品名:カップ半分だけ… 作家名:紀之介