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われらの! ライダー!(第三部)

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ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!


 試合は第2クォーターへ。
 チームメイトがオニとなり、苦戦しているのを志のぶは観察していた。
 チーム・ショッカーの男性はおそらく戦闘員……良く訓練されているので身体能力は高い、味方のオニも頑張っていたが、コールする度にリキックされて、結局得点はゼロ、第2クォーターを終えて0-4とリードを許してしまった。

 第3クォーター、今度はやけに唇が突き出た女性がオニだ。
 志のぶはやはりサークルから20メートルの板の陰に身を潜めた。
 今度は耳をつんざく超音波は発せられない、志のぶは地獄耳を発動して見えないオニの動きを探る。
 と、オニはまっすぐこちらに向かって来る!
 全く迷いは感じられない、やはり何かの能力を持っているのだろうか……。
 『唇』はかなりやせ型で、走っても速そうだが、これくらいの距離があれば勝てると踏んだ志のぶはギリギリまで引き付けて飛び出した。
「赤~!」
 『唇』のコール、ここから先は競走になる。
 『唇』は女性としてはかなり速かったが、志のぶの走力が勝った、志のぶは思い切りリキックを決めると、今度はウサギ小屋の裏に隠れた。
 思うところがあったのだ。
 案の定……今度は志のぶを発見できないようで、他のチームメイトを探している。
「青!」
 オニのコールだ! だが、敵にとって残念なことに志のぶは充分にリキック可能な距離、ウサギ小屋の裏から飛び出した志のぶはリキックを決め、コールを無効にした。
「きぃっ!」
 『唇』が短く金切り声を上げる、志のぶをアウトに出来ない限り、得点は望めない。
(あなた……聞こえる?)
(ああ、聞こえる)
(彼女も特殊能力を持ってる……おそらく怪人よ)
(何てこった、怪人が2人か……今度は何の怪人なんだ?)
(敵は二酸化炭素をかぎ分けてるみたい)
(二酸化炭素を?)
(木の陰に隠れたときはすぐ見つかったのに、ウサギ小屋の裏だと見つからないの)
(ウサギの吐く息がカモフラージュになったのか……)
(多分そうだと思う)
(だとするとあの女は……)
(何らかの吸血昆虫の怪人よ)
(そう言えば、顔が蚊に似てないか?)
(私もそう思う……特にあの唇ね)

 『唇』はコールを連発するものの、志のぶに阻まれて得点できずに第3クォーターも終了、0-4とリードされたまま、勝負は第4クォーターに持ち越された。
 最後は志のぶがオニだ。
 キックオフされた缶を回収し、目隠しタイムの10秒間、志のぶは地獄耳を発動して敵を探る。
 近いのは男性3人、一人は水飲み場の裏、そしてそのすぐ近くに20メートル板が置かれ、その裏にもう一人、残る一人は10メートル板の陰、リキックを狙っているのだ。
 女性二人はかなり遠い、当然の作戦ではある、男性3人が時間を稼ぎ、女性2人が隠れ通せば4-3でショッカーチームの勝ち、しかも特殊能力を持ち、オニの動きを察知できる2人なのだ。
 まずは10メートル板から……志のぶは足音を消して忍び寄り、拾った小石を板の右側に放り投げる、と、左側から青が飛び出した。
「青!」
 志のぶはそうコールすると、快足を飛ばして易々とストンプを決めた、まずは一丁上がり。
 次は20メートル板の裏と水飲み場の裏……千里眼を発動したとしても透視が出来るわけではないので見つけないと正確な色をコールできない……志のぶはわざと足音も荒く、両者の真ん中を目指して走る、訓練された戦闘員のこと、このスピードで近づけば急には止まれず、すれ違いざまに飛び出せば置いてけぼりを食わせることができると踏むだろう、そこまで読んでの作戦だ。
 案の定、二人が飛び出してきたが、志のぶには想定内だ。
「やあっ!」
 志のぶはその場でひねりを加えたでんぐり返しを打って急停止、立ち上がりざまに低い体勢からのスタートダッシュで二人の戦闘員を出し抜いた。
「「しまった!」」
「紺! グレー!」
 志のぶは続けざまにコールすると、缶にいち早く戻ってストンプ。
 これで3-4、1点差まで詰め寄った。
 残るは怪人と思しき女性2人……一人は体育館の横に、もう一人は立ち木の上、生い茂った葉の陰に隠れていることはわかっている、しかし色を間違えてしまうとマイナス2ポイント、逆転勝ちは難しくなる……志のぶは立ち木に向かって千里眼を発動した。
 葉の陰に肌色がちらりと動くのが見えた、ならばビブスの色は……。
「緑見っけ!」
 立ち木を指差してコール、ストンプして同点、あと一人で逆転勝利だ。
『耳』の方は見つけさえすればスピードでは負けない、志のぶは足音を消しながら体育館横に走った。
 体育館のような大きな建造物に身を隠したのは『耳』のミス、案の定『耳』は超音波を発して来たが、高い周波数の音は直進性が強い、体育館に阻まれてその裏側までは探査できなかったようだ。
「黒!」
 壁に張り付くように近づいてきた志のぶに気付いた時は既に遅し、志のぶのコールだ!
「いけない!」
 この期に及んでは逆転されたも同然、逆上した『耳』が両手を大きく広げると……あろうことか! 見る見る蝙蝠女に変身して行くではないか!
 突然の怪人出現に会場は騒然となった。

「出たわね! ショッカー!」
「あんたは一体何者なの? あたしたちの訓練兼リクレーションの邪魔してるんじゃないわよ!」
 蝙蝠女は牙をむき出しにした。
 その時、志のぶと蝙蝠女の間に割って入った大男……仮面ライダー・マッスルだ!
「悪いがその質問に答える義理はねぇな」
「お前は裏切り者のマッスル!……どうしてここに?」
「ガキの頃、缶けりは大好きだったんでね」
「余裕ぶっこいてんじゃないわよっ、きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」
「うおっ!?」
 マッスルのマスクは視覚、聴覚、嗅覚を鋭敏にする機能を備えている、素では聞こえなかった超音波が耳をつんざく。
「ぐぅ……これは堪らん」

 その時だった、飛び込んで来たバイクが蝙蝠女を跳ね飛ばした。
「きぃっ! 痛いじゃない! どこ見て運転してるのよっ!」
「ちゃんと前を見て運転してたさ……マッスル、ここは私に任せて、君は向こうに当たってくれ」
「そうか! 怪人はもう一人いたんだった! わかった、ライダー」
「きぃぃぃぃぃぃっ! お前は、ライダー! だけど、どうしてあんたに超音波が効かないのっ?」
「耳栓だ」
「あんたの耳ってどこよ!」
「その質問は今日二度目だな、飽きたよ」
「超音波が効かないならこうよ!」
 蝙蝠女は牙をむき出して飛びかかって来た。


ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!


「もう! あの女、正体現しちゃって一体どういうつもり? でも、こうなっちゃったら仕方ないわ!」
 『唇』の方も正体を現して翅を広げ、樹上から飛び立つ、案の定、蚊女だ。
 もう一人の怪人の出現に会場はパニックに、しかし、そこへ飛び出してきたのは純白の忍び装束、レディ9だ!
 蚊女はホバリングで空中に留まる。