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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「歴女先生教えて~」 第三十六話

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「おじさん、海斗は高橋先生のこと幸せにすると誓っているから、心配しなくて大丈夫だよ。おれもついているしね」

「拓真くん、心強いね。海斗とは幼いころから仲良くしてくれていたから、本当に助かるよ。これからもずっと頼むよ」

「じゃあ、いいんだよね?二人のこと」

「ああ、これだけ話を聞いて、ダメだとは言えんだろう、ハハハ~。高橋先生、息子のことよろしくお願いします」

もう涙が出てきて高橋は返事が出来なかった。美穂も同じように嬉しくて泣いてしまった。
海斗が父親に向かって頭を下げた。

「ありがとう。先生のこと幸せにすると約束するよ」

拓真が大きな拍手をした。
海斗は恥ずかしそうに涙をこらえていた。

美穂は帰り道、拓真を部屋に誘った。
特別に思いがあったわけではないが、拓真の海斗への強い友情に感動していたことが、あることを決めたようだ。

さて、幸せな出来事があって美穂の歴史への授業も一段と熱が入ってゆく。

「起立!礼」

「おはようございます。着席して。修学旅行前に出した宿題の答え合わせをします。誰から答えてもらおうかな?」

渡辺が手を挙げた。さすがクラス委員だ。

「先生、綱吉の治世を調べましたが、何と言っても生類憐みの令はやり過ぎとの批判が出ていい評価は得られていないようです。頬に止まった蚊を手でつぶした家臣が、綱吉から、おれが目指していることを知っていて何をしているのだ!と島流しにされたという話が残っています。犬や猫ならともかく害虫の蚊でこんなことをするのは間違っています」

「その話が本当なら、少しやりすぎよね。綱吉のことを悪く言うために後の誰かが捏造したということも考えられるわ。歴史の資料と言われる物の中にはそうした偽の史実が書かれているのよ。大化の改新後に書かれた蘇我入鹿の罵詈雑言や近くには太平洋戦争後の東条英機みたいにね。それは後に話すとして、本当に徳川綱吉は無能で独裁者だったのかしら?」

「先生!綱吉というより側用人だった柳沢吉保がワルだったと思います」

「鋭い指摘ね、高木くんいつも」

美穂はニコッと笑って高木の顔を見た。