「歴女先生教えて~」 第三十六話
美穂は生徒たちに忠臣蔵が教える真相と背景にあった綱吉の政治について調べてくるように宿題を出した。
答えは修学旅行から帰って来てから、授業でみんなの考えを話し合おうとなった。
高木の家に美穂と高橋、そして加藤の三人が来ていた。
少し重苦しい空気を払うように、加藤が口火を切った。
「おじさん、前にも言ったように海斗は真剣だから、そこのところ考えてやってください」
「拓真くん、分かっているよ。川野先生にお聞きしたいのですが、ご両親はどう言われましたか?」
「はい、実家に彼を連れて行って初めて顔を合わせたときはあまり良い感じではなかったのですが、話してゆくうちに彼の真剣さが父親にも伝わって、問題が出来たら一人で悩まずに自分の親と私の親に相談して解決すること、子供は私の希望に従って考えること、自分の収入で家族を養うという決心を条件に許してくれました」
「そうでしたか。やはり息子がきちんと仕事をやって、収入を得て、自分が支えるんだという気持ちが無いと結婚は出来ないと思う。心づもりはしていてもまだ18歳だと十分な収入が得られるとは限らないから、親の仕事を手伝う拓真くんとはそこが違うと心配するよ」
「海斗は頭がいいからいいところへ就職できるよ。まだ一年あるし、目標が決まっているから頑張れるだろう、なあ?海斗」
「ああ、父さん、就職は高卒でも今は悪くないから大丈夫だよ」
「自信があるのか?そこは一番大切なことだからいい加減ではダメだぞ。高橋先生は結婚したとして住まいとか今の息子さんのことをどんなふうに考えてらっしゃるのですか?」
「はい、住まいは海斗くんの職場が決まったら近いところで借りたいと思います。息子が転校を嫌がるようであれば、学区内で住まいを探します。それはお許し願いたいと考えております」
「海斗との間に子供が出来れば二人は兄弟になります。年頃なので弟や妹が出来た状況になじめるのか不安だよ。子育ては随分大変だろうから、そういう部分で夫婦に亀裂が入ることも懸念するよ」
「私は自分の息子に今回の話をしました。新しいお父さんが18歳のお兄さんのような人だと言いましたら、話しやすくていいかもしれないと言ってくれたんです。きっと海斗くんのことすぐになじめると思います。一番の心配事が消えてホッとしています。海斗くんとの子供が出来ても仕事は休職にしてまた復帰したいと考えています。二人の子供のためにお金はあった方がいいと思えるからです」
「高橋先生、本当に息子のような若い年齢で不安が無いのですか?父親としてそこのところが一番の心配事なんですよ」
「ええ、十分その事では海斗くんと話し合いました。私を信じてくれているように、私も彼を信じています。美穂先生のように美人にはなれませんが、若くいる努力は惜しみません」
加藤が口を入れる。
答えは修学旅行から帰って来てから、授業でみんなの考えを話し合おうとなった。
高木の家に美穂と高橋、そして加藤の三人が来ていた。
少し重苦しい空気を払うように、加藤が口火を切った。
「おじさん、前にも言ったように海斗は真剣だから、そこのところ考えてやってください」
「拓真くん、分かっているよ。川野先生にお聞きしたいのですが、ご両親はどう言われましたか?」
「はい、実家に彼を連れて行って初めて顔を合わせたときはあまり良い感じではなかったのですが、話してゆくうちに彼の真剣さが父親にも伝わって、問題が出来たら一人で悩まずに自分の親と私の親に相談して解決すること、子供は私の希望に従って考えること、自分の収入で家族を養うという決心を条件に許してくれました」
「そうでしたか。やはり息子がきちんと仕事をやって、収入を得て、自分が支えるんだという気持ちが無いと結婚は出来ないと思う。心づもりはしていてもまだ18歳だと十分な収入が得られるとは限らないから、親の仕事を手伝う拓真くんとはそこが違うと心配するよ」
「海斗は頭がいいからいいところへ就職できるよ。まだ一年あるし、目標が決まっているから頑張れるだろう、なあ?海斗」
「ああ、父さん、就職は高卒でも今は悪くないから大丈夫だよ」
「自信があるのか?そこは一番大切なことだからいい加減ではダメだぞ。高橋先生は結婚したとして住まいとか今の息子さんのことをどんなふうに考えてらっしゃるのですか?」
「はい、住まいは海斗くんの職場が決まったら近いところで借りたいと思います。息子が転校を嫌がるようであれば、学区内で住まいを探します。それはお許し願いたいと考えております」
「海斗との間に子供が出来れば二人は兄弟になります。年頃なので弟や妹が出来た状況になじめるのか不安だよ。子育ては随分大変だろうから、そういう部分で夫婦に亀裂が入ることも懸念するよ」
「私は自分の息子に今回の話をしました。新しいお父さんが18歳のお兄さんのような人だと言いましたら、話しやすくていいかもしれないと言ってくれたんです。きっと海斗くんのことすぐになじめると思います。一番の心配事が消えてホッとしています。海斗くんとの子供が出来ても仕事は休職にしてまた復帰したいと考えています。二人の子供のためにお金はあった方がいいと思えるからです」
「高橋先生、本当に息子のような若い年齢で不安が無いのですか?父親としてそこのところが一番の心配事なんですよ」
「ええ、十分その事では海斗くんと話し合いました。私を信じてくれているように、私も彼を信じています。美穂先生のように美人にはなれませんが、若くいる努力は惜しみません」
加藤が口を入れる。
作品名:「歴女先生教えて~」 第三十六話 作家名:てっしゅう