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circulation【4話】緑の丘

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 持ったまま笑っていると、中身がシェイクされそうだと思ったのだろう。
 そっか、あの時デュナがバスケットを確保しててくれたんだ……。
 半日かけて作ったお昼ご飯が無事だったことにホッとする。
「え、ち、違うのか!? じゃあなんて……」
 困惑するスカイに、デュナがすかさず助言する。
「そうねぇ、プオーンて鳴くほうがそれっぽいかしら」
「ぷ……ぷおーん」
 素直な弟を指差して、笑い転げるデュナ。

 可哀相なものを見る目で、どこか悲しげにスカイを見つめていたフォルテも、今は必死に笑いを堪えていた。
 からかわれていることにやっと気付いて、さらに真っ赤になるスカイ。
「ねーちゃん!!」
「いや、う、嘘じゃないわよ?? まあ、雄が、求愛行動で、鳴く声だけど、ね」
 呼吸困難に陥りつつも、デュナが途切れ途切れに返事をする。
「そうか、これでいいのか」
 ホッとした様子のスカイに、堪えきれなくなったのかフォルテが噴き出した。
 スカイにとっては、嘘でないこと、間違っていないことのみが重要なんだなぁ……。
 本当に、いつまでも子供みたいに真っ直ぐな人だ。
 デュナは、笑いすぎて息が出来ずにヒーヒー言っているし、フォルテも、可愛い声でキャラキャラ楽しそうに笑っているし、フローラさんも、いつもどおりの笑顔でクスクスと笑っている。

 皆の声につられて、私の苦笑も笑顔に変わる。

 こんな簡単なことで、皆こんなに笑えるんだよね。

 空には、浮海が出来る際に沢山姿を見せていた光の精霊のうち、まだそこらをうろついていた子供達が笑い声に惹かれて集まりかけている。

 思うよりずっと単純で温かいこの世界が、私は結構好きだった。

 視線をおろすと、スカイと目が合う。

 皆に笑われ続けて、どうしたものかと困惑した表情を浮かべていたスカイだったが、私の笑顔を見ると、ほんの一瞬安心したような顔をした後、ラベンダー色の瞳を細めて、弾けるような笑顔になった。