人魚姫
Villainess
」上陸する直前に
力尽きた王子
美しい艶やかな
姫の髪を
握り締め気絶する
姫は
王子に掴まれた指を
一本づつ抉じ開け
丁寧に髪を
救い出していると
暗闇の海を照らし
朝陽が
登り始めていた
そこへ
偶然通り掛かった
町娘
高貴な衣装を纏う
王子の姿を発見し
駆け寄った
傍に寄り添う
姫の人魚姿を見た
町娘は
浜辺に落ちていた
棒を拾い上げ
振り回す
「化け物!
この男は 私の物よ」
棒を投げつけられた姫は
王子の指先から
無理矢理 髪を引き千切り
海へと
姿を消した
意識を取り戻した
王子は目を覚まし
傍に寄り添う
町娘を見て
命の恩人と
崇めた
「君が私を助けたのですね」
町娘は
意気揚々と
戸惑いも見せず
「勿論です」
王子の手を握り
最高の笑顔を
見せ付けた