魔の法
携帯
罪の意識を
確認しても
尚
同じ悪夢を見る
死に逝く
少女達を見送り
佇む畳み部屋
突然
悪夢の中に
携帯電話が
鳴り響く
見つからぬ少女の
折りたたみ式
水色の携帯電話
電話の相手は
少女の母親だろうか
戸惑いながら
手にした携帯電話
リアル感のある
肉声が耳を刺す
少女の名を呼ぶ
母親の声
僕は
震えが止まらず
恐怖に襲われた
少女の死を
告げる言葉が見つからず
ガチガチと歯が軋み
全身の身の毛が弥立つ
逃れられない
罪への罰
そして
憎しみを帯びた
肉声が響き渡る
『 あんた誰』
そこで
悪夢から
突き弾かれ
真夜中の現実世界が
繰り返される
色のある
暗闇の現実世界
便器にしがみつき
胃液混じりの嘔吐を
数回
眠れぬ夜に
悪夢の洗礼
朝方 小一時間程
眼を瞑り取る仮眠
限界がある体力
吸い取られる気力
それでも
僕は
現実世界の人間
生きて逝かなければ