感染
第二章クルクルパー
クルクルパーを
拾った
苦悩が
降り被る
天井を眺め
枕に散乱する
煙草の灰
さて
クルクルパーを
何処に捨てに行こう
小さな胸を
隠しもせず
スエットから
引き抜いた紐で
綾取りをしている
クルクルパー
「帰れよ」
「何処に?」
秒殺
後悔の念
俺は何を
血迷っていたのだろう
最後に飲んだ酒が
悪かった
あの酒だけは
禁酒にしよう
結構イケる酒だったが
仕方ない
しかし
何処で拾ったんだろ
こんな
曖昧な記憶で
人生を棒に振るのは
納得いかない
クルクルパーを
処分しなければ
出来れば
焼却したい気分だ
何処か遠くへ連れ出して
置いてくるか
とりあえず
何処かの海にでも
放置しとけば
そのうち
誰かが
拾うだろ
「ドライブ行かないか?」
「車 嫌~い」
撃沈
飯でも食わせて
店に置いて帰るか
小遣いを
くれてやってもいい
二万
いや…5千円で
十分だろ
「飯食い行くぞ」
「裸のまま?」
クルクルパー
何を言ってるんだ
服を着ればいいだろ
何故に
服がないんだ
窓の外にも
落ちてない
ゴミ箱にも
ない
クローゼットの中
空にする手品でも
あるのか
「何処隠した」
「あっち」
嫌な予感は
的中しない事を
願う
浴槽の中
瞬間移動した服が
溺れている
ご丁寧な
泡風呂
会社に着て行く
スーツまで
いや…正確には
皮靴まで
プカプカと暢気に浮かぶ
クルクルパーの下着
「ざけんな!」
浴室のタイルに
投げつけたパーの下着が
ぺチャンと音を鳴らし
愉快気に滑り落ちた
乾燥機を
買うべきだった
ぶら提げたスーツが
滴る水で床を濡らし
ガゴンガゴンと
脱水機が唸り
「ねぇ」
クルクルパーの存在は
無視するに限る
「ねぇってばぁ」
「うるせぇ…」
窓枠から身を乗り出し
洗濯物を干してやがる
乳丸出しで
俊足で飛び掛り
乳鷲掴み
窓から排除
「殺すぞ」
「怖~い」
しかし
いい形してやがる
違う違う違う
ま…ついでに
揉んでおこう
クルクルパーのくせに
感度は最高
曲者だけはある
「ねぇお腹すいたよ」
「ん」
「何か食べようよ」
「ん」
「また やるの?」
聞き捨てならない
またとは
何度目の事を
言うんだ
…何回やったんだ俺は
記憶が定かでない
壁に寄りかかり
自業自得の不祥事に
頭を抱え座り込む
「服がねぇだろ」
「ピザ宅配しようよ」
四つん這いで
ピザ屋の広告を
探してやがる
「テレビ台の下だ」
桃尻突き上げ
腰を振る
クルクルパー
角度に合わせ
傾き掛ける
「ないよ」
そんな場所に
ある訳がない
渋々 立ち上がり
散乱した広告を
足で掻き回す
「ちゃんと探したのか?」
「探してるよ」
唇を尖らせ
床にペタンと座る
クルクルパーの
頭を鷲掴み
「フランクフルトでも食え」
不満気に下唇を突き出し
「ウィンナーじゃん」
丸飲みする
何気に品名を
変えやがったな
何やってんだ 俺
明日までに
乾く可能性は
果てしなくゼロだ
会社 休むか…
怒られんだろうな
面倒臭ぇし
この際
辞めちまうのも
悪くない
しかし
クルクルパー
何処で覚えたんだ
そのテクニック
クルクルパー感染
手遅れに
なりそうだ
セックス相性には
逆らえません
「お前 誰?」