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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「歴女先生教えて~」 第三十四話

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「今日は少し先に進んで、戦国時代を終わらせた織田信長の話をします。何か知っていることがあれば答えてください」

「先生!」

「では、渡辺くん」

「はい、信長は1560年(永禄三年)に駿河の今川義元を尾張の桶狭間で破り、その後1568年(永禄十一年)には京都にのぼって足利義昭を将軍に立てました。その後、信長は比叡山の延暦寺、石山寺(今の大阪城のあたりにあった)の本願寺と戦って対抗勢力をおさえ、1573年(天正元年)には信長の言うことを聞かなくなった足利義昭を京都から追放して室町幕府を滅亡させました。近江の浅井氏と越前の朝倉氏を共に滅ぼして、さらに1575年(天正三年)甲斐の武田勝頼も長篠の戦で破って、安土城を築き天下に自分の存在を示しましたが、1582年(天正十年)武田氏を滅ぼして、中国地方の毛利氏を攻撃するために宿泊していた京都の本能寺で家臣の明智光秀に謀反を受けて攻められ破れて一生を終えました」

「うん、素晴らしいわ!よく暗記しましたね」

「予習してきました」

「偉いわ~、さすがやることが違うわね。信長についてはいろんなことが言われているけど、先生は相当頭の良い、そして未来を見据えた優秀な人だったと思うわ。この当時日本に来ていたイエズス会(カトリック教徒の一派)の宣教師、ルイス・フロイトという人が書き残している文献にね、信長は自分の誕生日を聖なる日として、自分の像を作って安土城下で参拝させたと書いているの。どうしてだかわかる?」

「力を見せつけるためですか?」

「そうね、それもあるけど、違うの」

高木が手を挙げた。

「では、高木くん」

「信長は自分を神様のように偉い人物なんだと思わせたかったのではないでしょうか?」

「鋭いね、そうよ。ではなぜそう考えたのでしょう?神になった武将と言えば家康よね。東照大権現と呼ばせたからね」

「天皇を超えたかったからですか?」

「渡辺くん、そうだとしたら信長はどうしようと考えていたと思う?」

「天皇を殺す?」

「まさか、それやったら公家だけからではなく、多くの武士や、殆どの国民から忌み嫌われると思うよ。何と言っても天照大神からの子孫で、神の子供の系譜だからね」

「では、天皇家を廃絶して自分が成り代わろうと考えたのでしょうか?」

「廃絶というのは無理よ。生きている限り子孫にまた刃向われるからね。日本国家を自分が支配して最高権威に治まろうとすれば天皇は邪魔になる。信長は長いスパンで考えて、朝鮮半島や中国大陸を支配下にして、そこに天皇を移して治めさせ、自分は日本国と全支配下の帝国の権力者として治まろうと考えていたと思われるの」

この考えには生徒たちは驚きを隠せなかった。それは信長が大陸侵攻を考えていたと言う事だったからだ。ひょっとして秀吉はその意思を引き継いだのではなかったのかと思うようになった。