「歴女先生教えて~」 第三十四話
高木の家から戻ってきた加藤は直ぐに美穂へ電話を掛けた。
「今帰ってきたよ。高木の父さんが、おれと美穂と高橋先生で会いに来てほしいと言ったんだよ。確かめたいことがあるのかなあ?」
「お帰りなさい。そこまで話が出来たのね。あなたのこと高木くんのお父様は信用なさっているのね。立派よ」
「そうかなあ~小学校から知っているから、性格とか解ってもらえているんだろう。美穂の都合が良ければ高橋先生と連絡とって日にちを打ち合わせして教えて」
「うん、わかった。明日にでも保健室へ行って決められるといいけど。もう修学旅行だから何かとお互いに忙しいから、ちょっと先になるかも知れないよ」
「いいよ。決まればそれでいいから」
加藤は約束が出来れば、その日が海斗にとって運命の日になると信じられるのだ。
お互いに困難を乗り越えて、励まし合ってゆきたいと強く考えていた。
月曜日の朝、授業の前に美穂は保健室を訪ねていた。
「高橋先生、お願いがあります」
「川野先生、何でしょう?」
「高木くんから聞いていませんか?」
「何を?」
「そうなんですね。実は昨日加藤くんが高木くんの両親と話をしまして、お節介なんですけど、先生と高木くんの交際を認めて欲しいとお願いしてきたんです」
「まあ、そうだったの。加藤くんが私たちのために骨を折ってくれたという訳ね。ありがとう。で、どうなったの?」
「はい、高木くんのお父様から、先生と私を含めて四人で一度会って話をしたいと申し出があったの。都合が良ければご一緒したいのですがいかがですか?」
「うん、そうね、向こうのお父様にしてみれば不安よね。正直に言うと私も不安よ。あなたに勇気付けられて頑張ろうっていう気持ちはあるけど、子供のことがどうしても気にかかるの」
「そのことも加藤くんは話しているの。いきなりは無理だけど、結婚したら先生の子供は向こうの両親にとっては孫にあたるから、将来のことも見据えてしっかりと気持ちを聞きたいと思われたと思うわ」
「そうよね。結婚するということは親同士の関係もあるよね。私の両親から先に納得させないといけないわね。四人で会う時までに親と子供には話しておくようにするから、日にちはあなたの都合で決めてくれて構わないよ」
「そうですか、わかりました。では修学旅行から帰って来て、期末試験までの間の日曜日にしましょう。時間は連絡します」
高橋は美穂が部屋を出て行ってから、夏休みに高木と会った日のことを思い出していた。
あの時の決心が今こうなって実を結ぼうとしている。
夫への不満がこんな形で自分を再婚に導くだなんて考えてもみなかったけど、今は大好きな海斗への思いを大切にしなければならないと言い聞かせていた。
始業のチャイムが鳴った。
「起立!礼」
「おはよう。着席して」
美穂は一組の教室に来ていた。
チラッと見た高木と加藤の表情は爽やかだった。
「今帰ってきたよ。高木の父さんが、おれと美穂と高橋先生で会いに来てほしいと言ったんだよ。確かめたいことがあるのかなあ?」
「お帰りなさい。そこまで話が出来たのね。あなたのこと高木くんのお父様は信用なさっているのね。立派よ」
「そうかなあ~小学校から知っているから、性格とか解ってもらえているんだろう。美穂の都合が良ければ高橋先生と連絡とって日にちを打ち合わせして教えて」
「うん、わかった。明日にでも保健室へ行って決められるといいけど。もう修学旅行だから何かとお互いに忙しいから、ちょっと先になるかも知れないよ」
「いいよ。決まればそれでいいから」
加藤は約束が出来れば、その日が海斗にとって運命の日になると信じられるのだ。
お互いに困難を乗り越えて、励まし合ってゆきたいと強く考えていた。
月曜日の朝、授業の前に美穂は保健室を訪ねていた。
「高橋先生、お願いがあります」
「川野先生、何でしょう?」
「高木くんから聞いていませんか?」
「何を?」
「そうなんですね。実は昨日加藤くんが高木くんの両親と話をしまして、お節介なんですけど、先生と高木くんの交際を認めて欲しいとお願いしてきたんです」
「まあ、そうだったの。加藤くんが私たちのために骨を折ってくれたという訳ね。ありがとう。で、どうなったの?」
「はい、高木くんのお父様から、先生と私を含めて四人で一度会って話をしたいと申し出があったの。都合が良ければご一緒したいのですがいかがですか?」
「うん、そうね、向こうのお父様にしてみれば不安よね。正直に言うと私も不安よ。あなたに勇気付けられて頑張ろうっていう気持ちはあるけど、子供のことがどうしても気にかかるの」
「そのことも加藤くんは話しているの。いきなりは無理だけど、結婚したら先生の子供は向こうの両親にとっては孫にあたるから、将来のことも見据えてしっかりと気持ちを聞きたいと思われたと思うわ」
「そうよね。結婚するということは親同士の関係もあるよね。私の両親から先に納得させないといけないわね。四人で会う時までに親と子供には話しておくようにするから、日にちはあなたの都合で決めてくれて構わないよ」
「そうですか、わかりました。では修学旅行から帰って来て、期末試験までの間の日曜日にしましょう。時間は連絡します」
高橋は美穂が部屋を出て行ってから、夏休みに高木と会った日のことを思い出していた。
あの時の決心が今こうなって実を結ぼうとしている。
夫への不満がこんな形で自分を再婚に導くだなんて考えてもみなかったけど、今は大好きな海斗への思いを大切にしなければならないと言い聞かせていた。
始業のチャイムが鳴った。
「起立!礼」
「おはよう。着席して」
美穂は一組の教室に来ていた。
チラッと見た高木と加藤の表情は爽やかだった。
作品名:「歴女先生教えて~」 第三十四話 作家名:てっしゅう