恋するキューピッド
アタシはコードネームP、人間が言う所の天使なの。所属先は『カップル振興課』主な仕事はね……。
「もう、ちょっと待ってよPちゃん!僕先に行かないでって言ったでしょー」
「なによ男のくせに情けない声出して、アンタがノロマなだけじゃない!いちいち待ってらんないっつうの。それにアタシ、コードネームにちゃん付けしないでって言ったよねー」
「だってさぁーPちゃん……」
「もう!!」
この鈍臭いのが相棒のQ、そう、二人合わせてキューとピー。人間のカップル成立を助ける恋のキューピッドってわけ。
でも聞いて!一番ムカつくのはね、コイツが一級天使でアタシがまだ二級天使ってこと……全く『配属課』の奴ら、いったい何処見てんのって感じよ。
「プッ……だってそれは、Pちゃんが進級試験の学科でいつも落っこちるからじゃないかぁー」
「だーかーらー!それがムカつくって言ってんの!いくら一級だからってレディーの心の中を簡単に覗かないでもらいたいわけ」
「ハイハイ、了解了解。そんなことはいいからさ、さっさと下界に降りて仕事しようよ」
「そ、それが遅れてきた奴が言うセリフ!? まぁいいわ、いちいち相手してたらこっちの身が持たないもん。所でアンタ、今日が何の日か分かってんでしょうねぇ?」
「もちろん分かってるさ、二月の十四日。僕たちが一年で一番忙しい日……」
「そう、セント・バレンタインデーよ!」
そうなのよ、今日はセント・バレンタインデー。あっちもこっちも告白&告白でアタシらキューピッドは大忙し!まして最近は何なの?チョコの種類増えすぎ!
義理チョコはまだいいの、もう歴史を感じるし存在意義もあると思うから。なあに友チョコって?
「主に同性同士の友達で送り合うチョコのことだね。最近じゃぁーこれが一番多いのかもね」
それにマイチョコやファミチョコってもう全然意味わかんない!
「マイチョコは自分に、ファミチョコは家族にだね」
極めつけは逆チョコ!
「それは男性から女性に……」
「分かってるわよそんなこと!!だからいちいちアタシの心の叫びと会話すんなって言ってんでしょ!バカQーーーーー!」
「そう怒んなって!僕はこれも進級試験の必須だから、教えてあげようと思っただけじゃん……それにハイこれ」
「な、何よこれ?」
「逆チョコ……で友チョコで義理チョコ」
「バ、バカ!天使が人間の真似してんじゃないわよ……でも、ありがとう…。アタシ…こんなの貰ったの初めて」
「でしょ?よし、じゃあ行こうかPちゃん!」
「うん!」
さあて、今日もバリバリ働くわよー。おっと下界に降りたとたん早速来たわね、王道の高校の先輩に告白。手作りチョコ頑張ったんだね!
「す、好きです先輩!これ、美味しくないかもだけど……食べてください!」
「あ、あぁーサンキュー。でも俺他に……」
(Qーー!いっくよーーー!!)
(了解Pちゃん、いつでもどうぞ!)
まずはアタシが恋の矢を彼女に…。
(それ!)
そして次に、Qが彼の胸をめがけて恋の矢を放つ。
(よっとね!)
「ん!?」
「せ、先輩?どうかしたんですか?」
「あ、あれ?これ…チョコ……。俺……、スッゲー嬉しいよ!」
「えー!? ほんとにほんとですか?」
「あぁーもちろん。今度お礼にどっか連れってってやるよ!ホワイトデーまでは、俺が待ってらんないからさー」
「……」
「おい?どうした?」
「ヒック…ヒック…絶対無理だと思ってたんですぅー、絶対…私……フェーーーーン!」
「ちょ、おま、マジかよ!」
オッケー!一丁あがりよ!今日も朝から大成功。そしてそしてー、乗ってきたからジャンジャンいくわよ。
先輩OLから、年下イケメン君。
(ほ!)
(ズバッとね!)
こども園の年中さんから年長さん。
(エイ!)
(痛くないからねー、それ!)
あそこの熟年ペア……はダメダメ、あれはダブル不倫に発展しちゃうわ。
ついでにワンチャン猫ちゃんも…。
(やぁー!)
(えー、マジ!?)
今度は看護師さんから先生ね……。あ、あれ? 病室のあの子……。
「どうしたのPちゃん?」
「ううん……、あの入院病棟の女の子……」
「あ、あぁー。残念だけど、命の灯火が消えかかってるね…」
「あの子ね、去年も一昨年もあそこにいたの…。ほんとはね、すっごくすっごく好きな人がいるのに……自分の命の終わりを悟って告白できないの」
「Pちゃん、可哀想だけど彼女は僕たちとは担当違いだよ…ほら、もう今にも……」
「あ!!」
「なんだよ急に、ビックリしたー」
「ねぇQさぁ、アタシ噂で知ってんだけどね。一級天使って、秘密だけど一回だけ人を生き返らせれるんじゃなかった?」
「ど、どうしてそれを?」
「まぁね、伊達に何回も進級試験に挑戦してないわよ。ねぇお願い!あなたの一回をあの子に使ってくれない?」
「………」
「ねぇ、ケチケチしないでさぁー。時間がないの、お願いだったら!」
「違うんだ、言えないけど……違うんだ」
何だっていうのよ、アタシがこんなに頼んでるのに……あぁーもう彼女、ギリギリじゃないバカQーーー!!
「本気なんだね?Pちゃん。彼女を救うのが君の心からの望みなんだね?」
「そうそう!アタシの一生のお願い!」
「そっか……わかった」
「本当?やったーー!!」
「あーあ、こんなことなら律儀に待ってるんじゃなかったかな……。ウソウソ、今までスッゲー楽しかったよ」
「え?な…に……言ってんの?」
「じゃあ、もう時間がないから急ぐね……。Pちゃん……いや ケイコ、大好きだよ……サヨナラ……」
ちょっと待って!ま、眩しい!!
「もう、ちょっと待ってよPちゃん!僕先に行かないでって言ったでしょー」
「なによ男のくせに情けない声出して、アンタがノロマなだけじゃない!いちいち待ってらんないっつうの。それにアタシ、コードネームにちゃん付けしないでって言ったよねー」
「だってさぁーPちゃん……」
「もう!!」
この鈍臭いのが相棒のQ、そう、二人合わせてキューとピー。人間のカップル成立を助ける恋のキューピッドってわけ。
でも聞いて!一番ムカつくのはね、コイツが一級天使でアタシがまだ二級天使ってこと……全く『配属課』の奴ら、いったい何処見てんのって感じよ。
「プッ……だってそれは、Pちゃんが進級試験の学科でいつも落っこちるからじゃないかぁー」
「だーかーらー!それがムカつくって言ってんの!いくら一級だからってレディーの心の中を簡単に覗かないでもらいたいわけ」
「ハイハイ、了解了解。そんなことはいいからさ、さっさと下界に降りて仕事しようよ」
「そ、それが遅れてきた奴が言うセリフ!? まぁいいわ、いちいち相手してたらこっちの身が持たないもん。所でアンタ、今日が何の日か分かってんでしょうねぇ?」
「もちろん分かってるさ、二月の十四日。僕たちが一年で一番忙しい日……」
「そう、セント・バレンタインデーよ!」
そうなのよ、今日はセント・バレンタインデー。あっちもこっちも告白&告白でアタシらキューピッドは大忙し!まして最近は何なの?チョコの種類増えすぎ!
義理チョコはまだいいの、もう歴史を感じるし存在意義もあると思うから。なあに友チョコって?
「主に同性同士の友達で送り合うチョコのことだね。最近じゃぁーこれが一番多いのかもね」
それにマイチョコやファミチョコってもう全然意味わかんない!
「マイチョコは自分に、ファミチョコは家族にだね」
極めつけは逆チョコ!
「それは男性から女性に……」
「分かってるわよそんなこと!!だからいちいちアタシの心の叫びと会話すんなって言ってんでしょ!バカQーーーーー!」
「そう怒んなって!僕はこれも進級試験の必須だから、教えてあげようと思っただけじゃん……それにハイこれ」
「な、何よこれ?」
「逆チョコ……で友チョコで義理チョコ」
「バ、バカ!天使が人間の真似してんじゃないわよ……でも、ありがとう…。アタシ…こんなの貰ったの初めて」
「でしょ?よし、じゃあ行こうかPちゃん!」
「うん!」
さあて、今日もバリバリ働くわよー。おっと下界に降りたとたん早速来たわね、王道の高校の先輩に告白。手作りチョコ頑張ったんだね!
「す、好きです先輩!これ、美味しくないかもだけど……食べてください!」
「あ、あぁーサンキュー。でも俺他に……」
(Qーー!いっくよーーー!!)
(了解Pちゃん、いつでもどうぞ!)
まずはアタシが恋の矢を彼女に…。
(それ!)
そして次に、Qが彼の胸をめがけて恋の矢を放つ。
(よっとね!)
「ん!?」
「せ、先輩?どうかしたんですか?」
「あ、あれ?これ…チョコ……。俺……、スッゲー嬉しいよ!」
「えー!? ほんとにほんとですか?」
「あぁーもちろん。今度お礼にどっか連れってってやるよ!ホワイトデーまでは、俺が待ってらんないからさー」
「……」
「おい?どうした?」
「ヒック…ヒック…絶対無理だと思ってたんですぅー、絶対…私……フェーーーーン!」
「ちょ、おま、マジかよ!」
オッケー!一丁あがりよ!今日も朝から大成功。そしてそしてー、乗ってきたからジャンジャンいくわよ。
先輩OLから、年下イケメン君。
(ほ!)
(ズバッとね!)
こども園の年中さんから年長さん。
(エイ!)
(痛くないからねー、それ!)
あそこの熟年ペア……はダメダメ、あれはダブル不倫に発展しちゃうわ。
ついでにワンチャン猫ちゃんも…。
(やぁー!)
(えー、マジ!?)
今度は看護師さんから先生ね……。あ、あれ? 病室のあの子……。
「どうしたのPちゃん?」
「ううん……、あの入院病棟の女の子……」
「あ、あぁー。残念だけど、命の灯火が消えかかってるね…」
「あの子ね、去年も一昨年もあそこにいたの…。ほんとはね、すっごくすっごく好きな人がいるのに……自分の命の終わりを悟って告白できないの」
「Pちゃん、可哀想だけど彼女は僕たちとは担当違いだよ…ほら、もう今にも……」
「あ!!」
「なんだよ急に、ビックリしたー」
「ねぇQさぁ、アタシ噂で知ってんだけどね。一級天使って、秘密だけど一回だけ人を生き返らせれるんじゃなかった?」
「ど、どうしてそれを?」
「まぁね、伊達に何回も進級試験に挑戦してないわよ。ねぇお願い!あなたの一回をあの子に使ってくれない?」
「………」
「ねぇ、ケチケチしないでさぁー。時間がないの、お願いだったら!」
「違うんだ、言えないけど……違うんだ」
何だっていうのよ、アタシがこんなに頼んでるのに……あぁーもう彼女、ギリギリじゃないバカQーーー!!
「本気なんだね?Pちゃん。彼女を救うのが君の心からの望みなんだね?」
「そうそう!アタシの一生のお願い!」
「そっか……わかった」
「本当?やったーー!!」
「あーあ、こんなことなら律儀に待ってるんじゃなかったかな……。ウソウソ、今までスッゲー楽しかったよ」
「え?な…に……言ってんの?」
「じゃあ、もう時間がないから急ぐね……。Pちゃん……いや ケイコ、大好きだよ……サヨナラ……」
ちょっと待って!ま、眩しい!!