詩篇天竺浪人
炎夏
空は白地図、太陽てっぺん
蝉声(せんせい)さかる夏の昼下がり
頭のつむじチリチリ焼けて
街路樹の影せまくなる
風は砂のにおい
汗は排気ガス
かげろうの先は渋滞だ
空色、水色、からっぽの心
ラムネのびんのガラス玉
振ってみたら
よい音がしたよ
ちんからりん
ちんからりん
日傘の美人は、師宣(もろのぶ)の画か
汗でブラウスはりついて
息も絶え絶え坂道踏めば
手押しの赤ちゃん泣きやまぬ
誰かの吐き捨てた
チューインガム
サンダルの底にひっ付けりゃ
溶けて、固まる、ひからびた夢
足下ころがるアルミ缶
蹴ってみたら
よい音がしたよ
こんからかん
こんからかん