詩篇天竺浪人
男と女の鬩ぎあい
チャーリーパーカーに背中を押され
あなぐらみたいな、バーの扉をくぐった
さすがに、
ショットグラス3つも空ければ、心もからだも軽くなる
胃の中で、
ボンベイサファイアが舞踏(ダンス)してる
雪は、夜天(やてん)にくるくる回り、すだれのように降りそそぐ
あの娘(こ)が電話でこう言った
――ボーンでb5のビショップを取るわ
じゃあ俺は、そいつをナイトで取るよ
エリックサティに後ろ髪ひかれ
またまた暗いバーの扉をくぐった
さすがに、
スコッチボトル1本空ければ、心もからだも重くなる
胃の中で、
フォアローゼズが同盟罷業(ストライキ)してる
雪は、街路でてらてら凍り、うろこのようにへばりつく
あの娘が電話でこう言った
――ビショップでc6のナイトを取るわ
じゃあ俺は、クイーンサイドにキャスリングだ
ロバートジョンソンに心を挫かれ
最後のバーの扉をくぐった
さすがに、
もう何も飲めやしない、心もからだも狂いだす
胃の中で、
……もう、何が何だか分からない
雪は、五色(ごしき)に耀きだして、メフィストフェレスが笑いだす
あの娘が電話でこう言った
――クイーンでb6のビショップを取るわ
じゃあ俺は……なんだ、チェックじゃないか