赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 11話から15話
「珍しくなんかないさ。
心に準備が出来ていない時、何かを突然言われると、
それだけでパニック状態になるんだぜ。清子という女の子は」
「今朝の少女のお母さんと、まるっきり同じじゃないの。
落ち着いていて、いつも沈着冷静な少女のお母さんが今朝にかぎり、
ドタバタ、取り乱していたわ。
家の中にも、なんだか、いつもと違う気配が漂っていました。
あたし、心配だわ・・・・」
「ということは、いよいよ、緊急を要する事態なのかな?。
いいのかよ。君はこんなところで、おいらと、のんびり愛を語っていても」
「何度言わせるの。愛なんか語っていません。
ねぇぇ。そんなことより大丈夫かしら。清子のほうは。
さっきから、全然準備が進んでいません。
少女の様子も気にかかるけど、清子の様子はもっと深刻です。
あのままじゃ、いつまでたっても出発できません。
ねぇ、あんた。
清子のために、猫の手を貸してあげたら?」
「御免だね。
浴衣とパンツを、何度も出し入れしている女を手伝ってどうすんだ。
だいいち、あいつ。
俺があいつのパンツをかぶって遊んでいると、烈火のごとく
鬼のように怒るんだぜ。
そんな日頃の恨みもある。
ここはじっくりお手並み拝見といこうぜ。高みの見物さ。面白いぞ」
「清子にも問題あるけど、あんたにも相当、問題が山積しているわねぇ。
いったいどうなっているのさ、この家の中は・・・・」
(16)へ、つづく
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 11話から15話 作家名:落合順平