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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「歴女先生教えて~」 第三十話

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「そうね、文中の六波羅探題とは鎌倉幕府の職名で、それまでの京都守護を改組して、京都六波羅の北と南に設置した出先機関のこと。得宗とは、鎌倉幕府の北条氏惣領の家系のこと。徳宗・徳崇とも書かれる。初代執権北条時政から第九代高時まで続いたの。蒙古軍をやっつけたのは第七代時宗よ。」

「一つ質問があります」

「なに、渡辺くん」

「後醍醐天皇は隠岐に流されて天皇として排除されたのに、なぜ足利や楠木が味方に付いたのでしょう?もちろん他の豪族たちもです」

「そうね、いい質問よ。鎌倉幕府はボロボロになってはいたけれど、かと言って後醍醐に集まれ!とは直ぐにはならなかった。人心はそれほど180度変わりにくいものだったのよ。一度目の正中の変では後醍醐は自分の責任じゃないと部下が勝手にやったと言い逃れして、北条氏も問題を大きくしたくなかったから、関係者を処分してことを収めたのだけれど、息子の護良(もりよし)親王を天台座主に就け、比叡山を味方につけて二度目の挙兵をした元弘の変では、さすがに幕府も許すまじとなって隠岐へ配流した。普通はここで夢は潰えるんだけど、救世主が登場するの」

「楠木正成ですか?」

「そうよ、彼はよく解っていない人物なんだけど、大楠公(だいなんこう)といって戦前の日本人にとっては最大限に尊敬されていたのよ。そう教えられていたと言う事なんだけど、事実後醍醐天皇のために多大な活躍をした。悪党と呼ばれていたのは盗人とか言う意味じゃなく、土地を支配している武士集団に属さない武士という意味なの。後醍醐天皇はこの楠木ら悪党を味方につけたことが勝利へと結びついたの。どうして二人は知り合ったのでしょうね?想像できる?」

「夢に現れたと聞いたことがあります」

「高木くん、それは有名な話だけどフィクションね。どうやら研究者によると、朱子学が二人の結びつきみたいなの。後醍醐天皇の属する大覚寺統が支配する寺で、当時流行していた朱子学が教えられていたの。朱子学というのは中国の孔子が創始した儒教の一部よ。宗教色としての色合いより、どちらかというと学問だった。簡単に言うと、徳を説いているの。天に選ばれた皇帝が人民を支配するのが正しいという考え方です。天は何をもって皇帝を選ぶのかというと徳なの。この有徳の人間にこの世の中を治めて人民を幸せにしなさいと命じることを天命と呼ぶのね。天命を受けた人間が天子、つまり日本では天皇ということに結びつくの」

美穂の話は少し難しかったのか、質問が出なくなっていた。